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VOL.4 印版(4)―ゴム版絵付け― | |
陶磁器の絵付けのうち、筆描き以外の印刷技法による絵付け(印版)を、コンニャク版※・型紙(かたがみ)※・銅版※の順でとりあげてきたが、今回は「ゴム版絵付け」を紹介しよう。 この技法は文様の彫られたゴム印に、陶磁器用絵具をつけて器面に押印する絵付け法である。単にゴム版とも呼ばれる。ゴムの弾力を利用するため曲面への押印が可能で、安価な印刷法として上絵付け・下絵付けに利用される。ゴム版は彫刻されたゴム板(厚さ1mm〜3mm)の背面に厚さ5cm〜6cm程のスポンジをつけ、その上に厚紙をはりつける。これは厚紙を手でおすと均一の力がスポンジに伝わり、またスポンジとゴムの弾力性が、器の曲面への対応を容易にするためである。 わが国で陶磁器にゴム印が応用され始めたのは、大正初期、名古屋方面においてと思われる。佐賀県の有田町においても、古老の話によるとゴム版技術の導入は有田の深川六助が名古屋の竹田秋峰をよび、上絵のゴム版絵付けを習ったのが最初であり、それは大正10年から12年の間のことと聞く。しかし広く普及するのは昭和にはいってからで、上絵付けにわずかに遅れて下絵付け(染付)の方も普及している。有田町のゴム版店に残されている見本帳によれば、昭和6年に少なくとも6つの窯元が注文しており、ゴム版使用の度合いがうかがわれる。 ゴム版本来手描きの代用として使用されるため、製品は日用雑器がほとんどである。詳細にみると文様の外側部は濃く中心部は薄い。この点に着目するのが一番分かりやすい見分け方である。通常ゴム版は線の部分をゴム印で行い、そのあと面の部分を手描きで絵付けする場合が多い。 (鈴田由紀夫)
※コンニャク版についてはこちら→ ※型紙絵付けについてはこちら→ ※銅版絵付けについてはこちら→ |
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