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ギャラリーに並ぶ白磁の数々。曲線を主体にした造形は柔らかさが際立ち、手に持つとほのかなぬくもりさえ伝わる気がする。 「とかく冷たい印象の白磁に、温かみが出るよう手作りならではの形にこだわる」という西山正さん。話しぶりも作品と同様に穏やかで温かな印象だ。以前、個展を開いた時に、訪れた人が作品を見ただけで「優しい人が作っているんでしょうね」と言ったこともある。 西山さんは「白磁は作った人の性格が表に出やすい。だから、日ごろイライラしたり落ち込むことがないようにしないと怖いんです」と話す。一生懸命やっていても、肩に力が入り過ぎると形全体のバランスが崩れてくる、というのだ。 最初は特に白磁にこだわっていたわけではない。伝統的な分業制の窯元ではなく、自由自在な焼き物作りを求め、19歳の時に県窯業試験場入り。人間国宝の井上萬二さんに師事したことが本格的に白磁を志すきっかけとなった。 2年後、「現代の名工」でろくろの名手の中村清六さんに頼み込んで弟子入り。五年余り手ほどきを受けた。一番弟子ということもあって指導は厳しかったが「職人の中の職人に学ぶことができ、恵まれた環境だった」と振り返る。 伝統技法にとどまらない井上さん、昔ながらの職人かたぎの中村さんと異なるタイプの師に学び、白磁の美に対する思いはさらに強まった。それが精巧な技術の追求に向かわせた。 独立、開窯した時に名付けた「佳秀窯」は、人が土を重ねて秀でたものを作ろうという願いが込められている。原料の陶石は最上級のものを使う。経済的に苦しくなっても「白さが変わるといけないから」と陶石の質だけは落とさない。 技術面では「ああしたい、こうしたいという気持ちはあるが、出来上がってみるとまだまだ」。デザインを考えてもその先がなかなか思い通りにいかず、満足した記憶はあまりない、と言う。イメージと完成の誤差をいかに少なくするかは技術次第だが、どのように克服するかは一生の課題とみている。「技は一つひとつ積み上げるもの。たくさん失敗を重ねることで上達し、少しずつ理想に近づけたら」と話す。 個展では来客の声に耳を傾ける努力を惜しまない。「特に食器は生活に身近なものだから。優しさがあふれる作品で、使う人の家庭に笑顔と安らぎが生まれたらうれしいですね」。 |
■佳秀窯(かしゅうがま) 西松浦郡有田町中部丙 JR有田駅から徒歩10分。 展示場あり。駐車場3台。 電話0955(42)3493 |
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このコーナーは平成12年度に開催された、大英博物館佐賀県陶芸展への出品を控えた陶芸作家のみなさんにインタビューを行った記事です。記事は「佐賀新聞」に掲載されました内容を転載しております。 ※作品、作家の写真は、佐賀新聞社提供によるものです。 |
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