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アジア


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■青花牡丹唐草文壷・ベトナム
(せいかぼたんからくさもんつぼ)
15〜16世紀 福岡市美術館所蔵


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■色絵麒麟文盤・ベトナム
(いろえきりんもんばん)
15〜16世紀 福岡市美術館所蔵


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■白褐釉刻花龍鳳凰文水柱・タイ
(はっかつゆうこっかりゅうほうおうもん
すいちゅう)
15世紀 福岡市美術館所蔵


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■鉄絵魚文台鉢・タイ
(てつえぎょもんだいはち)
14〜15世紀 福岡市美術館所蔵

 
アジアのやきもの
(ベトナム・タイ)

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 種々の民族、宗教、文化が複雑に重なり合った東南アジアでは、陶磁器の世界でもそれぞれの地域によって多様な様相を呈しています。なかでも中国との深いつながりを感じさせるのがベトナム、タイの陶磁です。中国文化の影響が強かったベトナムではかつての公文書は中国語で書かれていました。また、漢字を真似たチュノム(字喃)という独自のベトナム文字を使った時期もあり、この文字が使われたやきものも存在しています。ベトナム陶磁器(安南陶磁器)は、中国を範としてそのやきものの全ての種類が作られたといっても過言ではありません。青磁白磁青花(せいか)鉄絵三彩その他ほとんどが写され、ベトナム風にアレンジされた文様は、素朴な味わいとして日本人に好まれる理由にもなっています。
 ベトナム陶磁器生産が興隆しはじめたのは13・14世紀。中国の龍泉窯(りゅうせんがま)を模したと思われる本格的な青磁が焼かれ、鉄絵の描かれたものも焼かれはじめました。15世紀には青花(せいか)が完成し、後半にはその最盛期を迎えます。全面に青花の文様が埋まった「青花牡丹唐草文壷(せいかぼたんからくさもんつぼ)」でも分かるように、速筆で描かれた鉄絵とは対照的に青花の文様は丁寧かつ丹念に描かれているのが特徴です。15〜16世紀にかけては色絵陶器の製作が始まったとされます。青花と色絵で雲間に飛翔する麒麟を表した「色絵麒麟文盤(いろえきりんもんばん)」は径39cmにおよぶ大盤ですが、この時代を代表的するいかにも南方的雰囲気の漂う個性的な作品です。

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 一方タイ陶器は、バン・コーノイ窯の調査で13世紀末以前に無釉陶器の生産が行われていたとされ、施釉陶では、モン窯と呼ばれる地点で発見された青磁系の釉のかかった陶器がもっとも古いものとされています。またタイのやきものは日本にも多くが輸入され茶人の間で愛用されました。
 タイ中部シーサッチャナラーイやスコタイなどでもやきものが生産されています。シーサッチャナラーイの窯の製品は、中国の龍泉窯(りゅうせんがま)の影響を受けたといわれる青磁鉄絵、白褐釉、黒褐釉など多彩な釉をもっていますが、青花(せいか)は生産されていません。魚文鉢の中でも出色の「鉄絵魚文台鉢(てつえぎょもんだいはち)」は、シーサッチャナラーイの魚文意匠の特徴である、型にはまらない自由な描写で表現した優品です。
 また、斬新なデザインの「白褐釉刻花龍鳳凰文水注(はっかつゆうこくかりゅうほうおうもんすいちゅう)」もシーサッチャナラーイの製品で、全く損傷のない大変貴重なものです。タイの東北部では、10〜13世紀のクメール陶器が戦後になって発見されています。

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