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高校時代はソフトテニス、フォークギターに熱中、作陶のことなど頭になかった。しかし、いつの間にか自然とこの世界へと入っていた。「やはり親の背中を見て育ったのでしょう」と語る有田町白川にある稗古場窯の草場茂也さん。 白川谷と呼ばれる土地に構えた工房の周囲は落ち着いた雰囲気で、静かなたたずまいを醸し出す。自然の息吹を感じながら、創作に没頭できる場所だ。 草場さんは九州造形短期大を卒業して、昭和51年に岩尾對山窯に就職。後に母校有田工高へ転職し、稗古場窯を営む父正人さん(日展陶芸作家)を手伝いながら、作陶技術を磨いた。 父の勧めで、各種展覧会には積極的に出品。55年には早くも、九州山口陶磁展、日本現代工芸美術展、日展に初入選を果たし、順調なスタートを切った。 草場さんの作品は大型の染付飾り瓶が中心。鋳込み成形の技法では角張った形、ろくろでは丸みを帯びさせる。さらに、ひねりや内部からのたたき出しなどで、独特のフォルムに仕上げる。 「とにかく目新しいことを」と肩に力が入っていた時期もあったが、無心で打ち込んだ「波濤(はとう)」が平成9年の九州山口陶磁展で最高賞の文部大臣奨励賞を受賞。「これまでの受賞で、一番うれしかったですね」と振り返りながらも、その時の姿勢を忘れないよう心掛ける。 自然、特に海が好きというように、作品は海の広大さを想起させる。「流動」「海嘯(かいしょう)」などのシリーズを世に送り出した。波の音を聞いては「流れる模様にしよう」、海の色を眺めては「青を表現しよう」など海から受ける影響は大きいという。 表面に使う呉須(ごす)も紫、薄い青などいろいろ使い分ける。また、同じ色でもブラシやスプレーで濃淡を丹念につける。表面の白を生かすためのマスキングテープや和紙染めを用いたりと白と青のコントラストに気を配りながら、常に独自の表現を模索する。 最近、タタラ成形機を購入。ろくろで成形した作品の下に、同機で作った陶板を組み合わせ、新しい形を生みだそうと試みる。「形に幅がでてきました」との言葉からは、手ごたえを感じ始めた自信の程がうかがえる。だが、大英博物館展を控えて、「どんな展覧会でも出展するときはいつもドキドキしてますよ」と飾らない。 七十四歳になっても元気に作陶に励む父の姿を目の当たりにして、「教えてもらうことはまだまだたくさんある。父は先生みたいなもの」と父への尊敬の念は強い。 「楽しむ姿勢を持ちながら、これからも親子でこだわりの作陶を続けたい」と笑顔を見せた。作陶論を語るその笑顔は、おおらかでさわやかな印象を与える作品のイメージにピタリと重なり合う。 |
■稗古場窯 西松浦郡有田町白川にあり、展示場も同所にある。 JR上有田駅から車で約5分。西肥バス「札の辻」バス停から徒歩約五分。 電話0955(43)3119 |
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このコーナーは平成12年度に開催された、大英博物館佐賀県陶芸展への出品を控えた陶芸作家のみなさんにインタビューを行った記事です。記事は「佐賀新聞」に掲載されました内容を転載しております。 ※作品、作家の写真は、佐賀新聞社提供によるものです。 |
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