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小野鉄兵さん |
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個展を中心とした活動、しかもその展示はほとんど急須だけという若手陶芸家・小野鉄兵さん。ふとしたきかっけで、小野さんの急須を手にすることができ、丁寧なつくりとその愛らしいフォルムに目をひかれました。 一体どんな方がつくられているのか、うららかな秋の午後、佐賀県嬉野町にある「Teppei窯」をたずねました。 ―こんにちは!小野さんの急須はころんとした丸いフォルムが、何とも心なごみますね。
つくってみて分かるのですが「丸い形」って難しいのですよ。まん丸の球体をつくっても、不思議と「丸」には見えにくい。完成されすぎて近寄りがたいといった感じでしょうか。それで私の急須は少しつぶしたような「球体」に仕上がるようにつくっています。このほうが「丸い」・「優しい」というイメージになるんです。人間の目や手って不思議ですよね。 ―小野さんご一家は、小野珀子さん(祖母)・小野次郎さん(父)と代々陶芸家でいらっしゃいますが、皆さん磁器の作家さんで、鉄兵さんは陶器をなさっていますね。 私は佐賀県立窯業大学校へ通っていましたが、学生のころから土物が好きでした。磁器とはまた違った色合いや質感の豊富さ、幅広い表情にひかれました。学校を卒業したあとは4年程、波佐見焼の窯元で働きましたが、独立するときも陶器でと考えていました。 この道を選んだからには、「急須の人」と呼ばれるぐらいがんばりたいですね。 ―急須はさまざまなパーツを組み立ててつくり、また使い勝手を重要視されることから「急須をつくれるようになったら一人前」という方もいるほどです。手間のかかる急須づくりをメインになさっているのはどうしてですか?
とはいえ、確かに急須づくりは手間がかかりますね。私は6つほどのパーツで作りこんでいますが、まだまだ各パーツとも研究中です。使って下さっている方や、妻の意見も取り入れながら改良の日々です。とくに持ち手が
急須って使い心地が悪いとお蔵入りしてしまうので、出荷の際には必ず水切れなどをチェックしています。また使い勝手も大事ですが、楽しさも欲しいので蓋のつまみを窯の形にしたり、つまみを急須の形にしたりと遊びごころも大切にしています。おもしろいでしょ。 「細かい作業が多くて大変ですね」とよく言われますが、ひたすら完成した姿を楽しみにすることで、細かい作業は苦にはなりません。
茶漉しは大事です!ここで、お茶の出具合やおいしさ、お手入れのしやすさも決まりますから。 他の作家さんの個展などにもよく行きますが、急須が飾ってあると、ついつい茶漉しをチェックします。 茶漉しの穴を開ける作業にも順序があるんですよ。 焼成すると土が収縮しますので、それを計算して均一な穴開きになるよう、穴を開ける位置にも気を配りますね。 ―小野さん、もしかしてプラモデルお好きですか? は?!子供のころから大好きですよ!ひたすら完成を目指してもくもくと(笑)。 確かに小野さんの急須は使い勝手がよく、しかも両手におさまるような感覚が愛着を感じさせる。個展会場では、小野さんの急須をなでなでしながら、にこにこと鑑賞するお客さんもいるそうですが、何だかその気持ちもわかります。ひとつのことに集中する。簡単なようで実はなかなか難しい。しかし決してストイックではない、遊びごころも兼ね備えた小野さんの急須だからこそ、使い勝手のよさと愛着がわく存在になるのかもしれません。 |
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