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割烹食器などをメインとした業務用食器の専門メーカーである錦右エ門窯。国道35号線沿いにある、白壁に土蔵風の建物が人目を引く窯元さんです。食空間を楽しく演出できる器を、と赤絵や交趾(こうち)を中心とした華やかな有田焼をつくっていらっしゃいます。窯に併設されている展示場へ入ると、従業員さんの皆さんがとても元気で明るく出迎えてくれました。就任して5年目という青年社長、山口幸一郎社長にお話をうかがいました。 ―錦右エ門窯さんの器は、とても彩りが美しいのが印象的ですね。見ているだけでうきうきしてきます。このグリーンの陶箱など、他ではみられない鮮やかな発色ですよね。 ええ、これは交路(こうち)という顔料をつかっているのです。黄色や青といった原色を色鮮やかに取り入れています。ちょっと高くつくのですが、色合いの美しさや日常とは違った華やかな空間を演出できるものを、というこだわりがありますから。 私たちは業務用の器を中心につくっていますが、外食とは、家庭での食空間とは違う楽しさや雰囲気、満足感を満たさなければなりませんので、いつもそういったことを念頭に器づくりをやっております。器と料理で感動できる食空間といったところでしょうか。 ―なるほど。ところで、錦右エ門窯さんでは美しいだけではなく実用新案にも登録されている便利な器も開発されていると聞きましたが。 はい、卓上で使う一人用のお鍋なんですが、蒸気で蒸し上げる構造のものなんです。愛子様のご誕生を記念して「夢・愛蒸鍋(あいじょうなべ)」というネーミングにしたんですよ(笑)。このお鍋は湯煎式の二層構造になっていて、内鍋の噴出し口から蒸気が周る構造になっています。そして余分な水分はまたこの噴出し口にもどってきて外鍋に排出されます。こうすることで、鍋の内部の温度が一定に保たれ、また余分な水分がないので、ふっくらとした蒸し物がおいしくいただけるようになっています。 また見た目も大事ですので、有田焼らしい華やかな柄物など様々な色柄でつくっています。 ―このお鍋を開発したきっかけは何だったのですか? はじめはお豆腐屋さんから、有田焼でおいしい豆腐料理を食べさせることはできないだろうかと相談を受けたんです。豆腐が「おいしい」ということは、水っぽくならず、そして食卓で温かいものを温かいままでいただけるのが一番だということで、この蒸気鍋を思いつきました。実際、汁物を温める卓上鍋はポピュラーですが蒸し料理を卓上でできるものは聞いたことがありませんでした。 主に私の叔父が開発リーダとなっていましたが、一番苦労したのは、外鍋と内鍋のサイズをぴったりと合うようにつくることです。もちろん型でつくるのですが、外鍋は陶器で、内鍋と蓋は磁器でできているんですよ。土が違うと、焼成した後に収縮率が違うのでサイズ合わせが難しくなのです。また蒸気をうまく対流させるために鍋や蓋の形にも気を配りました。 ―商品開発は大変なんですね。 そうですね、いつも自分でニーズを探し出すアンテナをはっておくことも大事です。見たり聞いたり、足を運んだりして実際の食空間に触れてアイデアが生まれると思うんです。そして試用と開発を繰り返しながら商品が生まれてくるんですね。また有田焼は分業化がすすんでいますが、その分、工程ごとに高い技術でもって生産にあたっています。そういった私たちのこだわりが、使われる方に伝わると嬉しいですね。 ―私たちでもできる家庭での美しい食卓づくりにアドバイスをお願いします。 まずは盛り付けに一手間をかけてみてはいかがでしょうか。特に華やかな器の場合は、少な目の量を盛り付けると、見た目にも美しく、料理だけでなく器も楽しめます。そして器の色などを料理の色彩の一部と考えれば、配色バランスも良くなります。また、副菜などは高さをだして盛り上げるようにしてみて下さい。おいしそうに見えますよ。 ―簡単に取り入れられそうですね、早速試してみます!ところで社長さんのご趣味は何ですか? テニスや野球、スキーなど体を思いきり動かすのが好きですね。 錦右エ門窯さんの展示場は、美しい有田焼がたくさん並び、とても華やかな雰囲気です。和風旅館や、モダンな料亭を思わせるような、畳間や竹、墨絵などを使ったディスプレイも素敵です。春を思わせる花柄の小鉢や、夏にピッタリの涼しげなラスター彩の器など四季折々のコーディネートもありました。「若い人にもこういった日本の季節感や有田焼などの伝統品の良さを、もっと知っていただきたいですね。」との社長さんの言葉が印象的でした。 |
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