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うぐいすの声がちらほらと聞こえるようになった、3月の小春日和のある日、黒髪山陶芸作家村にある桃林窯を訪ねました。周囲を緑と青空に囲まれた大自然の中に、桃林窯の白壁の工房がひときわ映えます。桃林窯の器は、チョコレート色の土に柔らかい白色の粉引きのコントラストが印象的。また和でも、洋でもない、どこかエキゾチックなところが魅力の器です。お話を窯主である吉田求さんに伺いました。 ―桃林窯さんは、ギャラリーと茶房が併設されているのですね。窯元を訪ねるにはちょっと勇気がいるという人もいますが、気軽に立ち寄れる雰囲気ですね。 ええ、私自身あちこちの窯元を訪ねてみて、なるべくふらりと立ち寄れるような雰囲気にしたいなと思って建てたんですよ。茶房では、桃林窯の器でお茶を楽しんでいただけますから、気軽に見て、使って、器に触れていただけるようにしています。実際に若い方からご年配の方まで幅広い方から足を運んでいただいています。若い方にはご自分専用に楽しむ、コーヒーカップ等が人気がありますね。 ―吉田さんのつくられる食器はおしゃれでいて、どこか懐かしいものを感じさせますが。 料理研究家の方から懐石料理などについての勉強を受けまして、食卓で使える、映えるものを意識してつくっています。主に粉引きを中心として刷毛目や焼き締めといった土物です。土物の持つ魅力は、つくった人の動きや土のあじわいが、使い手にも伝わるところでしょうか。また火が作り出す味わいも魅力的ですよね。実際に絵柄の入った器はあまりつくっていませんが、「窯で絵を描く」といったイメージで、土と炎が生み出すあじわいを大切にしています。実は独立する以前、有田焼の磁器メーカーに勤めていたこともあって、独立当初は磁器を中心に制作していたんですよ。私は几帳面なほうなので、磁器をやり出すととことん一分の隙もない仕事を求めてしまいます。そんな私がおおらかに表現できるのが土物だった…。 ―有田焼というと、桃林窯さんのやきものは特に「○○焼」という名称はついていないようですが。 よく聞かれます(笑)、佐賀はやきものの産地ですからね。あえて「○○焼」というくくりはせず、桃林窯の個性を感じてもらえればと思っています。 それと反対に、私にとっては食器という制約があるほうが、表現がどんどん広がります。限られた枠の中で、楽しく使いやすい物をつくることを追求していきたいものです。 ―ところで、吉田さんは短期大学で教鞭をとっていらっしゃたこともあるそうですね。最近は陶芸ブームですが、チャレンジしている方に何かアドバイスがあればお願いします。 そうですね、まずは上手につくることよりも、土で遊ぶ、土と遊ぶといったことを通して、土を好きなってもらいたいですね。また陶芸にチャレンジするきっかけがなかなかないという方は、学校の公開講座や職人さんによる実演等を見にでかけてみてはどうでしょうか。目の前で見たり聞いたりすることも、大きなきかっけになってくれますよ。 ―つくるのが難しい器は、ありますか? それはもう、酒器ですよ。なんせ自分で使うものですから(笑)。 桃林窯の窯主、吉田さんは昭和31年生まれの45歳。お客さんで一番多い層も吉田さんと同じ年代の方なのだそうです。自然に囲まれた場所と、ほっと落ち着く器に、優しい笑顔の吉田さん。桃林窯の魅力は「和み」にあるようです。茶房では、おいしいお茶をきれいな奥様が丁寧に入れてくださいました。 |
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