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日本の食器の中で鉢もまた重宝な器である。物の本によると大きさによって大(径16センチ以上)、中(16〜13センチ)、小(13センチ以下)に分けられるという。
こどものころ、家族六人で囲む食卓の真ん中にはいつも、その日のメーンのお菜(かず)を盛った大鉢が一つ、または二つあった。どっしりとした存在感があり、こども心に豊かな気分になったものだ。それから銘々に小皿なり小鉢なりに取って食べるのであるが、わが家では習慣として、同じお菜を取り分けた小皿や小鉢が前もって銘々に配られており、私たち兄弟は早くその分を食べ終え、大鉢からお代わりを取るのを競ったものだ。そんな情景を今は懐かしく思い出す。
鉢は主に汁気のある煮物を盛りつけるため、深みがある。そのせいで食卓の中央にある大鉢は余計に存在感があったのだろう。母親は家にあるいろいろな大鉢をお菜に合わせて使い分けていたようだ。多く有田焼の染付や色絵の磁器だったと記憶している。
結婚してから、その時々に思いついて買った大鉢が、磁器、陶器と何個か自家にもあるが、現在はこどもたちも成人して家を離れ、夫婦二人の食卓では出番もなく、菓子や果物を盛ったり、布を敷いて小物入れとして使ったりしている。
中鉢についてはあまり使った記憶がない。現在は料亭や旅館などで、例えば一人前の煮物などを入れる器として用いられるのをよく見かける。
その点、小鉢は今も毎食の必需品だ。煮物、和え物、酢の物、おひたしなどを盛り、鍋料理のときにもポン酢などのつけ汁用に欠かせない。ほとんどが染付や色絵の磁器である。
丼鉢は飯碗の延長線上にあり、飯碗二杯分くらいが入る容器である。手に持ち、口元まで運び、箸で飯なり麺なりをかき込むのが一般的な使い方で、従って磁器が多く、江戸時代に主に外食の器として発達したというが、これが意外に使い勝手がよく、家庭でも丼飯や麺を食べるのによく使っている。ただ市販の物は大体に大きく、年齢的に食が細くなったこのごろ、小ぶりの丼鉢を探している。
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