トップ >> 筒井ガンコ堂のガンコスタイル >> vol.3 古伊万里入門(2001年) |
この場合の「古伊万里」は、骨董の世界で珍重される、ごく初期の、殊に染付を指しているようだが、古伊万里の世界は実はもっともっと広いのである。そのことを、私たち素人に分かりやすく教えてくれたのが、先ごろ福岡で見た「古伊万里のすべて」展だった。 一口に古伊万里というが、その定義からしてちょいとややこしい。そのややこしいことを解きほぐし、最新の学術的研究も踏まえながら、時代、様式ごとに分類・整理して、あくまで一般的な鑑賞者を対象に、代表的な作品を展示し、親切な作品解説を付して見せてくれた。何ともぜいたくな、しかも画期的な展覧会だった。 佐賀県立九州陶磁文化館の監修で、福岡、東京展は終わったが、あと広島、神戸、香川を会場に七月まで巡回展が行われる。機会があればぜひご覧になることをお勧めする。 この展覧会の図録がまたよく出来ている。編集を担当し、「古伊万里入門」を巻頭に書いているのは九州陶磁文化館の鈴田由紀夫さん。「入門」の中で、骨董の世界(鈴田さんは「骨董」という語句は使っていないけれど)が江戸前期の古伊万里を偏重することをやんわりたしなめているのを、いかにも鈴田さんらしい見識だと感心したのだった。 |
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