トップ >> 筒井ガンコ堂のガンコスタイル >> vol.2 やきものに親しむ第一歩(2001年)
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 やきものとは、辞書的な言い方では「陶磁器や土器など、土を焼いてつくった物の総称」である。この定義はもちろん、間違ってはいないが、全部を言い尽くしてはいない。

 実は、世界的に見れば、やきものの生産量の多くは煉瓦(れんが)やタイルなどの建築資材が多く、「器」はその一部でしかない。あの、地球上の最大の建築物である中国の万里の長城は黒煉瓦でできているのである。

 しかし、まあ、日本では一般的には壷や皿などの器のことをやきものとして認識しているし、前述の辞書の定義には注意深く「など」を入れていることでもあり、間違ってはいないと言ったのである。
 そんな日本のやきものの特徴を一言でいえば実に多種多様であるということだろう。釉薬(うわぐすり)のかかっていない焼き締めから陶器、磁器まで、派手な色ものから土味(つちあじ)を生かした地味なものまで、「作家」の一品作品から大量生産のものまで。それらが、デパートの陶磁器売場や街なかのやきもの屋さんの店頭に、大量に、並列して、ワラワラと現出しているのである。初心者はどこから近づいたらいいのか分からず、呆然と立ちすくむばかりであろう。
 そこから「一点突破」するにはどうすればよいか。

 それはまず、何でもよい、自分が日常使う物を、好みに任せて、買ってみることだ。飯碗でも、湯呑みでも、丼鉢でも、小皿でも、盃でも。たかだか数千円を奮発して買い、日々使ってみる。愛着がわくか、飽きがくるか。飽きればまた別の「手」を買う。そのようにして次第にやきものの世界に入って行く。だんだん面白くなる(はずである)。この、面白いということが肝腎なのであって、やきものに限らず、物事すべて、面白がっているうちに、いろいろなことが見えてくるようになっているのである。
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■筒井ガンコ堂
本名:筒井泰彦(つつい・やすひこ)
1944年佐賀県生まれ
平凡社にて雑誌「太陽」編集に従事。
佐賀新聞社で文化部長、論説委員など歴任。
元「FUKUOKA STYLE」編集長。
著書に「梅安料理ごよみ」(共著)、
「必冊 池波正太郎」等
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