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VOL.8 如意頭文様(にょいとうもんよう) | |
如意は仏教用具のひとつで、読経・説法の時の講師の僧や灌頂(かんじょう・法を受ける儀式)の時の大阿闍梨(だいあじゃり)などがたずさえる具。鉄・銅・角・竹・木などで作り、頭部がトランプのスペードに似た雲形(くもがた)の板で、それに柄がついて、鍬(くわ)のような形状をしたものである。手が届かぬ背中の痒い所を思いどおり意の如く掻くことができるまごのての役目もするのでこの名があるといわれる。 この如意の頭部の形を如意頭文様という。この形に似た道具にやはり寺の道具で時報を知らせるために打ちならす青銅製の雲形のもので雲版(うんばん)(打版(だばん)ともいい、染織文様に用いられている)というのがある。如意頭文様の歴史は古く、中国周時代の青銅器の文様にみられる。前漢時代の有名な馬王堆1号墓出土の朱地彩絵棺の側面に描かれているのは注目される。宋時代の建築文様には各種の複雑な如意頭文様があらわされた。 陶磁器には元時代ころから盛んに用いられ、北京市崇文区の元墓から出土した青白磁貼花(ちょうか)文瓶(14世紀)にはビーズ紐による貼付(はりつけ)の如意頭文様を装飾している。 青花や釉裏紅の作品にもみられ、如意頭文様を粋として、その中に青海波文様※やひげ状の波涛文様、また唐草文様などをおさめた例がみられる。明時代にもひきつづきおこなわれ、有名な例としては古赤絵「鉢の子(はちのこ)」茶碗(15世紀)の腰まわり。安宅コレクションの重文、法花三彩花鳥文壺(15〜16世紀)の肩まわり。また畠山記念館の五彩魚藻文壺(1522〜16)の底部周辺などにみられる。写真は17世紀前半、有田の山辺田(やんべた)窯の大鉢。鐔(つば)状の口部に如意頭文様をめぐらしている。 (吉永陽三)
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