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VOL.1 紗綾形文様(さやがたもんよう) | |
卍(まんじ)つなぎの一種で、卍を斜めに連ねた連続文様。紗綾の織り、すなわち地が平組織で、文様が縦の四枚綾の絹織物に多く用いられるところから名づけられる。この系統の文様は名物裂(めいぶつぎれ)に多く見られ、おそらく明時代の中国から伝わったものであろう。日本では桃山時代頃からの文様に多く用いられ、ことに江戸時代には綸子(りんず)※1の地文はほとんどが紗綾形で、これに菊・蘭などをあしらったものが紗綾形綸子として非常に多く行われた。 染物の地文様、建築の装飾などにも用いられ、鍋島藩窯※2の作品にも多くとりいれられている。あらかじめ墨で器面に紗綾形文様を丁寧に描き、その上から呉須(ごす)と濃み筆(だみふで)で塗りこめると墨の上の呉須ははじきとぶ。それを800度位で焼くと墨はカーボンとなってとんでいき、墨で描いた紗綾形文様は白くぬける。墨はちょうど、ろうけつ染めにおけるロウの役割を果たしている。この技法を墨弾き(すみはじき)※3の技法といい、鍋島藩窯の独特の技法の一つとして知られる。 (吉永陽三)
※1 綸子:地文様がある織物の一種※2 鍋島藩窯についてはこちら→ ※2 鍋島藩窯についてはこちら→ ※3 墨弾きの作品についてはこちら→ |
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