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冬の宿 嘉例のすすはき 絵で見るやきものの世界
江戸の暮らし
《その1》
冬の宿
嘉例のすすはき

豊国III
C名古屋市博物館所蔵
「いやー、煤払いも楽じゃないよ!あー腹が減った。」
「お疲れ様だね、ちょっと握り飯とお茶を一杯どうかい?」
 今も昔も12月ともなると、新年を迎える準備で大忙しです。江戸の町では12月13日に煤払いが行われていました。これは幕府が12月1日から12日にかけて煤払いをし、13日に納めをしていたことからきているといわれています。煤払いは一家総出で行われ、終わると胴上げをしたり歌を歌ったりして喜んだそうです。商家などでは酒やお祝儀なども振舞われ、今でいうと「大掃除の後に忘年会」といった感じでしょうか。
この絵を見ると、もう日は暮れてろうそくが灯されていますが、ふすまや小物はまだ片付いていないようです。腹をすかせた若い衆におかみさんが食事を出しているのでしょう。重箱には握り飯・煮しめ、白磁に染付の土瓶と湯呑みにお茶を用意しているようです。土瓶にはどうやらおめでたい松文が描かれているようです。

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