江戸の人々は口中のケアにはたいへん気を使っていたようです。絵のような房楊枝とよばれるもので歯や舌の汚れをとりました。そして大人の女性は「お歯黒」をしていました。お歯黒は鉄屑からつくる液で歯を黒く染めること。そしてそのお歯黒をうがいするための碗が、絵の女性が手にもっている陶磁器の「うがい碗」です。普通のお碗よりも口が広く内面にも文様が描かれていることが多く、女性好みの文様がよく見受けられます。このうがい碗は化粧七つ道具のひとつでもありました。絵の女性が持っている碗はどうやら菊の花と蝶が描かれているようです。碗の内側には「四方襷(よもだすき)文※」と思われる文様が描かれています。 |