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絵で見るやきものの世界 江戸美人のメークアップ
 今も昔も女性たちは美しくありたいと願うのは変わりません。美白化粧品やコラーゲンなどといった化粧品は巷にたくさんあふれていますが、もちろん江戸時代にも様々な化粧品や流行がありました。江戸時代には「色白、きめ細かな肌、髪が長く艶がある、口は小さく紅い」が美人の条件とされていました。また「上方ぽってり江戸淡く」という言葉があるように、江戸では薄化粧が流行していたようです。もちろん今の化粧品と同じく化粧水、白粉、口紅などもあり、上流階級の女性の間では「爪紅」今でいうマニキュアまであったのだそうです。ところで化粧品というとその中身もさることながら、おしゃれなパッケージや容器にも女性達の関心が集まります。江戸時代の化粧品はどんな容器で使用されていたのでしょうか?浮世絵に残る化粧道具を見てみると陶磁器製品がその役目を果たしていたようです。
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当世三十弐相 世事がよさそう
大判錦絵
18世紀前半
C山口県立萩美術館・浦上記念館所蔵
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 江戸の人々は口中のケアにはたいへん気を使っていたようです。絵のような房楊枝とよばれるもので歯や舌の汚れをとりました。そして大人の女性は「お歯黒」をしていました。お歯黒は鉄屑からつくる液で歯を黒く染めること。そしてそのお歯黒をうがいするための碗が、絵の女性が手にもっている陶磁器の「うがい碗」です。普通のお碗よりも口が広く内面にも文様が描かれていることが多く、女性好みの文様がよく見受けられます。このうがい碗は化粧七つ道具のひとつでもありました。絵の女性が持っている碗はどうやら菊の花と蝶が描かれているようです。碗の内側には「四方襷(よもだすき)文※」と思われる文様が描かれています。
※四方襷文は四角い格子の中に様々なパターンを描いたものです。【文様の種類へ→】

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