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《その1》 |
17〜18世紀のヨーロッパでは「シノワズリ」と呼ばれるいわゆる東洋趣味が流行しており、磁器・更紗・漆製品などの品物が愛好されていました。中国や有田を中心とする肥前地区から輸入された磁器は食器や装飾品として使用され、中には部屋の壁面を東洋磁器で埋め尽くす「磁器の間」を設ける王侯もいたそうです。東洋磁器はヨーロッパのみならず東南アジアにも輸出されています。ここでは江戸時代中期に輸出用に生産されていた肥前磁器などを中心に紹介していきます。 | |||
1602年に設立された、オランダ連合東インド会社(Verenigde Oostindische Compagnie)はその頭文字をとってVOCとも呼ばれています。このVOCを組み合わせたモノグラムは社章として用いられ、倉庫や貨幣、旗や陶磁器などに入れられていました。VOCの本来の目的は香辛料の輸入でしたが、中国磁器も商品として取り扱っていました。中国磁器はヨーロッパだけではなく東南アジアにも輸出されていましたが、明朝から清朝への王朝交代の内乱と清朝の貿易制限のため、17世紀には中国製品の輸出がストップしてしまいます。VOCはその代用品として肥前磁器に目をつけます。17世紀後半から18世紀後半にかけて、VOCによって大量に輸出された肥前磁器の数は記録にあるだけでも約370万個以上と考えられています。 1684年には中国磁器の輸出も再開され、また幕府の対外貿易制限などの影響もあり、肥前磁器は1750年代以降、海外市場から後退します。 |
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資料提供先
■佐賀県立九州陶磁文化館 佐賀県西松浦郡有田町中部乙3100-1 電話0955-43-3681 ■武雄市歴史資料館 佐賀県武雄市武雄町大字武雄5304-1 電話0954-20-0222 |
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