Vol.26 |
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滅びし者へ
(ほろびしものへ)
■発行所
集英社
■著者
志水辰夫(しみずたつお)
■定価
1400円
■ジャンル
現代小説 |
血の秘密から歴史の闇へ。物語のあらゆる要素を盛りこんで。ここに神話が甦る!雄渾の長編、完成!(カバー広告より)
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平凡な家庭に育ち、車のセールスマンとして生活をしていた石黒義彦が、己の身体に宿る超人的な能力に目醒めたとき、彼を取り巻く世界は突如としてまったく違った世界として動き始めます。すべては彼の出生の秘密に関わることであり、彼はその宿命の名のもとに、命を狙われる身となります。
遡ること四百年前。日本歴史上随一の権力者織田信長の血を受け継ぐという天堂宗一派。彼はそれまで女性にしか継承されなかった教義を、密かに闇で受け継いでいた一人だったのです。
物語は自分に授けられた宿命に目醒めることになった義彦が、自分を葬り去ろうとする者たちと闘いながら、自らの野望を打ち立てるために、政治の世界への進出を企てるというものです。
登場人物の相関関係が複雑すぎるのと、義彦の周りの人間がことごとく死んでいく筋立てに少し閉口しますが、ストーリー展開は緊迫した場面も多く、面白く読むことができます。
彼が二十四歳からわずか三年あまりで、陶芸作家としてその才能を開花させたというモチーフ。彼の双子の兄弟が隠遁していた窯場の場面など、舞台装置の一つとして焼き物に関わる場面が有効に描かれています。
■関連リンク 「暗夜」(志水辰夫)
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