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有田・伊万里 江戸時代中期 コピー
 「古伊万里」(こいまり)とはその名のとおり古い伊万里焼のことをさし、通常は江戸時代の伊万里焼を称しています。
 染付(そめつけ)の藍色の素地に、上絵の金、赤、緑、黄色などで装飾した作品を「古伊万里様式」と呼んでいますが、藍色と金、赤の組み合わせが基本で、金欄手(きんらんで)の古伊万里と呼ばれることもあります。
 「古伊万里様式」は、それまで流行していた「柿右衛門様式」に替わり、元禄期(1688〜1704)に生まれています。「柿右衛門様式」同様にヨーロッパで好まれ、元禄から享保(1716〜1736)にかけて大量に輸出されました。余白がないほど文様が描きこまれた絢爛豪華な作品もあり、豊かな時代の元禄時代を反映しています。構図の特徴は、器を放射状の直線や唐花(からはな)状の曲線で区別し、窓絵(まどえ)と地文様(ぢもんよう)を交互に描くこと。文様には唐花文(からはなもん)、獅子牡丹文(ししぼたんもん)などがあります。
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 佐賀鍋島(なべしま)藩の御用窯(ごようがま)で作られた焼き物は「鍋島」と呼ばれ、その独特の様式は「鍋島様式」といわれています。
 御用窯の鍋島藩窯は、1628年(寛永5年)に有田の岩谷川内に設けられ、1675年に伊万里市大川内山(おおかわちやま)に移されています。この窯では主に藩の用品、大名への贈答品、幕府への献上品が焼かれています。
 ここには有田の民窯から最高の技術を持つ者が集められ、厳格な管理のもとに、規則正しい器形と、意匠の色絵染め付け青磁などいわゆる「鍋島」が生まれます。色絵は、染付(そめつけ)で文様の輪郭をとり、赤、黄、緑の三色と染付(そめつけ)の青で仕上げた端正なもので、特に優れたものを「色鍋島」(いろなべしま)と呼んでいます。染付(そめつけ)は濃(だみ)墨弾き(すみはじき)などが特徴で、完璧な技を誇っています。また、青磁は「鍋島青磁」として古来から尊ばれる染付(そめつけ)と青磁を併用した技法です。「鍋島」は古伊万里様式と同じく、元禄年間(1688〜1704年)最盛期を迎えています。
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コラム コピー

 唐時代に磁器生産が本格化して以来、中国は何世紀にもわたって世界に製品を供給し続けた磁器生産地でした。しかし、明朝から清朝への王朝交代の内乱と、清朝の貿易制限のため、17世紀には中国磁器の世界への供給がストップします。中国磁器を重要な貿易品としていたオランダ連合東インド会社(VOC)は、代わりの磁器を他に求めなければならず、中国磁器の品質にせまっていた肥前磁器が選ばれました。こうして肥前磁器は世界へ販路を広げていきます。17世紀後半から18世紀後半にかけて、VOCによって大量に輸出された肥前磁器の数は、記録にあるだけでも約370万個以上。頭文字を合わせたマークは、社章として磁器に表されました。


■染付芙蓉手鳳凰文大皿:VOC銘
(そめつけふようでほうおうもんおおざら)
1690〜1710年代
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵

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