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陶芸に関する用語集 か〜こ
か
灰釉陶器(かいゆうとうき)
奈良・平安時代に植物灰の釉(うわぐすり)を施し、中国青磁の影響を受け、瀬戸近くの猿投(さなげ)窯を中心に焼かれた陶器。
梅華皮(かいらぎ)
釉(うわぐすり)がちぢれて粒状になった部分で、井戸茶碗(いどじゃわん)のように燃焼不足から高台脇の釉(うわぐすり)が溶けきれず鮫肌状になったもの。
蛙目粘土(がいろめねんど)
花崗岩類の岩石が風化して堆積したもので、カオリンを主成分とし、2〜5・ほどの石英の粒子が入った粘土。
カオリン(かおりん)
磁器の原料である白色磁質の粘土の一種。磁器(じき)に使う釉薬(ゆうやく)の原料として用いられ耐火度が高く粘り強い。
柿右衛門様式(かきえもんようしき)
伊万里焼(いまりやき)の一種。濁し手(にごして)とよばれる白磁(はくじ)に赤絵の具を基調とし、余白をいかした優美な色絵磁器。
■関連リンク 展覧会レポート・柿右衛門の世界展
掻き落とし(かきおとし)
生乾きの素地(きじ)に黒色の土を塗り、一部を削り取り文様を描くという装飾法。中国磁州窯(じしゅうよう)の朝鮮李朝(りちょう)ものが有名。
柿の蔕(かきのへた)
高麗茶碗(こうらいぢゃわん)の一つ。李朝(りちょう)の初期に作られ、青みを帯びた釉(うわぐすり)が薄くかかった肌合が、柿の蔕(かきのへた)に類似。
柿釉(かきゆう・かきぐすり)
柿色に焼き上がる、褐色の鉄分の多い釉。どんな種類の粘土でもよいが、白い土を用いた方が柿色が映える。
隔冥記(かくめいき)
京都・鹿苑寺の住職鳳林承章が公家との交流や茶会・道具までを表した、1635〜1668年までの日記。
掛流し(かけながし)
なだれ状に、2〜3種類の釉薬(ゆうやく)を柄杓などで流しかけること。
掛分け(かけわけ)
2種類以上の釉薬(ゆうやく)を器物の左右または上下に掛分ける。
笠間焼(かさまやき)
茨木県笠間市で、安永年間(1772〜81)に信楽(しがらき)の陶工を招き開窯し、日用陶器を焼いた窯。
■関連リンク やきものの産地・笠間焼
鎹継ぎ(かすがいつぎ)
金属の小鎹で割れた陶磁器を接合すること。
片口(かたくち)
鉢の口縁に一ケ所注ぎ口があるもの。唐津の片口(かたくち)の中には、注ぎ口を欠いて侘茶の茶碗として用いるものもある。
型作り(かたづくり)
型に陶土を押し当てて成形するため、同形のものを量産するのに適した技法。型抜き、型打ちともいう。
■関連リンク 陶芸の製作道具・成形(型作り)に使用する道
堅手(かたで)
高麗茶碗(こうらいぢゃわん)の一種。素地(そじ)や釉色が堅い感じがその名の由来で、ほとんどが白地の茶碗。
片身替り(かたみがわり)
器の文様などが、左右または上下半分ずつ異なること。
型物伊万里(かたものいまり)
型を用いて成形した伊万里焼(いまりやき)。染付(そめつけ)・色絵(いろえ)に金彩(きんさい)を加え、唐草・幾何学的な小紋を組み合わせた文様構成が特徴。
褐釉(かつゆう)
中国の漢時代につくられた低火度釉の褐色の釉。
加藤四郎右衛門景正(かとうしろうえもんかげまさ)
実在については不明。鎌倉時代初頭、中国で製陶技術を学び瀬戸に陶業をもたらした。
加藤民吉(かとうたみきち)
19世紀初頭の肥前(ひぜん)で製磁技術を学び、瀬戸(せと)での磁器焼成に成功。
加藤陶九郎(かとうとうくろう)
16歳から作陶をはじめ、黄瀬戸(きぜと)、志野(しの)、絵唐津(えからつ)、伊賀(いが)など幅広くおおらかな作風が特徴。
加藤土師萌(かとうはじめ)
岐阜県陶磁器試験場に勤め、陶技の研鑽を積み青白磁、辰砂(しんしゃ)、五彩(ごさい)、金襴手(きんらんで)、黄地紅彩など幅広い作域が特徴。
金重陶陽(かねしげとうよう)
備前(びぜん)の窯元に生まれ、父楳陽(ばいよう)のもとで作陶を学び、桃山時代の備前焼(びぜんやき)の再現を目指した陶芸家。
■関連リンク やきものの産地・備前焼
窯(かま)
焼き物を焼くための焼成炉。低火度(ていかど)の窯は、素焼窯・錦窯(絵付窯)であり、高火度の窯には本焼窯がある。
■関連リンク 登り窯を散策しよう
窯焼き(かまやき)
窯を焚く専門の職人、またはやきものを仕事にする人々の総称。
加守田章二(かもだしょうじ)
灰釉陶や象嵌(ぞうがん)、彩釉など多彩で独自の作陶をもった陶芸家。
亀山(かめやま)
長崎県長崎市で焼かれた磁器で、1804年に開窯し、染付青磁(そめつけせいじ)が作られた。
唐子絵(からこえ)
中国人の子供を描いた図柄で、九州平戸の三川内焼(みかわちやき)で、松樹の下で遊ぶ唐子(からこ)の図は有名。
唐津焼(からつやき)
佐賀県西部から長崎県にかけて焼かれた陶器。朝鮮陶工により開窯され、日本三大茶器であり茶陶(ちゃとう)が有名。
■関連リンク 筒井ガンコ堂のガンコスタイル・「唐津焼」のこと
唐物(からもの)
中国から輸入されたものの総称。やきものでは、天目・茶碗・水指・茶入・花入などで室町時代に最高評価を得た。
土器(からわけ)
素焼きの盃など、釉(うわぐすり)をかけていない素焼きしただけの焼き物。
河井寛次郎(かわいかんじろう)
京都五条坂に開窯。濱田庄司らと民芸運動を興し、黒褐釉、鉄絵、辰砂染、白化粧など味わいある作風が特徴。
川喜田半泥子(かわきたはんでいし)
実業活動のかたわら書画・俳句・陶芸で活躍。大正1年開窯し、作品の大半は茶碗。
川本治兵衛(かわもとちへい)
瀬戸の陶家で2代目より染付磁器をてがける。2、3代目ともに技術の高い陶工として知られた。
川本舛吉(かわもとますきち)
石膏型の導入、染付(そめつけ)を中心とし磁器を生産。輸出用や博覧会向きの製品を作陶。
皮鯨手(かわくじらで)
唐津焼に多い意匠。口縁に鉄を塗ることで、鯨の皮身のような黒褐色に焼き上がる。
還元炎焼成(かんげんえんしょうせい)
焼成の際、酸素量を減らし炭素の多い不完全燃焼で焼くこと。土や釉(うわぐすり)に含まれる金属の固有の色を発色。
貫入(かんにゅう)
素地(きじ)と釉(うわぐすり)の収縮率の違いから、器面に生じたひび割れ。窯変(ようへん)の一種で見所ともなる。


き
素地(きじ)
成形された焼き物の土。焼成前は生素地、素焼後のものを素焼素地という。
岸岳窯(きしだけがま)
佐賀県東松浦郡北波多村にあり、透明の灰釉(かいゆう)を施した陶器が、初めて焼かれた唐津焼の古窯。
黄瀬戸(きぜと)
桃山時代に美濃で作られ、灰釉(かいゆう)に含まれた鉄分により、黄色の発色となる焼き物。食器類に優品が多い。
北大路魯山人(きたおおじろさんじん)
美食倶楽部の主宰。織部(おりべ)・色絵(いろえ)などに独特の作風で料理のための器を作陶し、食器を芸術品に高めた。
亀甲文(きっこうもん)
亀の甲らのような六角形を組み合わせた文様のこと。
■関連リンク やきものにみる文様・亀甲文
木節粘土(きぶしねんど)
不純物や鉄分を含み、低温では赤み、高温では灰色になる漂積粘土。
京焼(きょうやき)
楽焼(らくやき)は除いた、京都で焼かれたもの。野々村仁清(ののむらにんせい)や尾形乾山(おがたけんざん)らにより、色絵陶器の優品が作られた。
■関連リンク やきものの産地・京焼
清水焼(きよみずやき)
慶長年間に、京都市東山区清水の五条坂で赤、金、青の彩色陶器を焼きはじめたのが始まり。
■関連リンク やきものの産地・京焼
清水六兵衛(きよみずろくべえ)
京都清水焼の陶芸家で当代七代目。京焼の伝統を継承しながらも、新しい解釈を加えたのは、6代目旧名正太郎。
金海(きんかい)
薄作りな磁器質な胎土(たいど)に、青みのある透明釉(とうめいゆう)がかかっている御本茶碗(ごほんちゃわん)の一種。
金彩(きんさい)
金泥・金箔などを用いて彩画した装飾法の一つ。金付、金焼付ともいう。
金繕い(きんつくろい)
破損した部分を漆で接合し、表面に金を蒔いた陶器の修理法。
鈞窯(きんよう)
中国可南省にある宋代の名窯。失透性の青磁釉とこれに辰砂(しんしゃ)を混ぜた紫紅釉が代表的。
金襴手(きんらんで)
色無地あるいは色絵(いろえ)や染付(そめつけ)けに金泥や金箔を用いて、文様を付けた絢爛な焼き物。赤絵金襴とも呼ばれる。


く
櫛目高台(くしめこうだい)
鍋島焼の皿の高台側面に、染付(そめつけ)で櫛目状に施された文様。藩窯(はんよう)の製品である証。
燻べ焼(くすべやき)
珠州焼のように、酸素の量を極端に少なくして、燻すように焼く焼成法。
九谷庄三(くたにしょうざ)
金色金襴手(きんらんで)と称する作風が人気を呼んだ、九谷の陶工。
九谷焼(くたにやき)
金沢市から小松市周辺で焼かれている磁器。京焼(きょうやき)の色絵(いろえ)の流れと、緑・黄・紫を基調とする古九谷様式(こくたにようしき)の流れが主流。
■関連リンク やきものの産地・九谷焼
口紅(くちべに)
皿や鉢などの口縁に鉄を塗ったもの、縁紅(ふちべに)ともいう。
沓茶碗(くつちゃわん)
瀬戸黒(せとぐろ)、織部(おりべ)、唐津(からつ)など不規則な楕円形をした茶碗。
国焼(くにやき)
瀬戸(せと)と京都以外で焼かれた茶器。近年は日本のやきものの総称として、また地方窯という意味で使用。
くらわんか茶碗(くらわんかぢゃわん)
江戸時代に淀川で船に酒食を売る商人たちが使った、厚手の染付茶碗(そめつけ)で波佐見(はさみ)・三川内(みかわうち)・砥部焼(とべやき)などが産地。
黒唐津(くろがらつ)
鉄分の多い釉(うわぐすり)のため、飴色・黒褐色・淡黒になった唐津焼。
黒薩摩(くろさつま)
黒物「くろもん」とも呼ばれ、薩摩焼の中でも、黒釉(こくゆう)をかけたもの。
■関連リンク やきものの産地・薩摩焼
黒楽(くろらく)
引出黒の一種で、楽焼(らくやき)の中で黒色のもの。低火度(ていかど)焼成だが赤楽(あからく)よりは火度は高い。


け
珪石(けいせき)
石英を主体とする地核の30%を占める珪酸質の岩石。陶磁器や釉薬(ゆうやく)の原料として利用。
珪酸(けいさん)
釉(うわぐすり)の主原料で、溶けて冷却するとガラス質になるが、単独では溶けにくい。
景徳鎮(けいとくちん)
唐時代に始まり、白磁青磁、青白磁(せいはくじ)、染付(そめつけ)、赤絵(あかえ)など様々な技法のものを焼いた中国江南省にある大窯業地。
鶏龍山(けいりゅうざん)
三島(みしま)・刷毛目(はけめ)・白磁(はくじ)などを焼いた、朝鮮李朝(りちょう)時代初期の窯。
景色(けしき)
器の表目に現れた、窯変(ようへん)や流し掛けなどによる釉薬(ゆうやく)や形の変化。茶碗や茶入れなどの見所。
化粧掛け(けしょうがけ)
素地(きじ)とは違った色に仕上げるために、目指す色の陶土を表面に薄く掛けること。
■関連リンク やきものの技法・化粧掛け
下手もの(げてもの)
美術工芸品ではなく、日用雑器の類。民芸運動により素朴な美しさが評価。
蹴ろくろ(けろくろ)
足で蹴ることにより、回転させる轆轤(ろくろ)。
■関連リンク 陶芸の製作道具・成形に使用する道具
乾山(けんざん)
尾形乾山(おがたけんざん)のこと。兄で画家の光琳(こうりん)の絵付けによる合作をはじめとして、独特の色絵で食器類を製作。
建水(けんすい)
茶碗をすすいだ湯水を捨て入れるための器物。
建窯(けんよう)
中国福建省にある宋・元代の名窯。黒釉(こくゆう)のかかった天目茶碗(てんもくちゃわん)を焼き、鎌倉・室町時代に日本へ輸出。
献上伊万里(けんじょういまり)
有田の磁器のうち、宮中の献上品。
献上唐津(けんじょうがらつ)
唐津市唐人町の御用窯(ごようがま)で江戸時代後期に焼かれた、精緻な唐津焼。


こ
小石原焼(こいしはらやき)
福岡県朝倉郡小石原村で焼かれた陶器。刷毛目(はけめ)や飛び鉋(とびかんな)で壺・鉢・徳利などの実用品。
■関連リンク やきものの産地・小石原焼
古伊万里(こいまり)
明治以前に作られた伊万里焼で、特に赤絵(あかえ)が完成して以降のものをいう。それ以前のものは初期伊万里。
■関連リンク 筒井ガンコ堂のガンコスタイル・古伊万里入門
口縁(こうえん)
蓋がついていない器の、一番上にあたる縁の部分の周辺のこと。
香合(こうごう)
香を入れるために使う、蓋付きの小さい器で茶道具のひとつ。
口唇(こうしん)
器の一番上のへりにあたる部分のこと。
高台(こうだい)
糸底(いとぞこ)ともいう。器を安定させるために底につくられた台。同じ土で後からつける付け高台と、削り高台の2種。
交趾焼(こうちやき)
中国明時代後期から清時代初期に作られた三彩陶。交趾(こうち)(現在のベトナムの北部)の産と考えられたことが名前の由来。
■関連リンク やきものの産地・アジア
高麗茶碗(こうらいぢゃわん)
朝鮮の李朝(りちょう)時代に焼かれ、日本にもたらされた茶碗。井戸(いど)、青磁雲鶴、刷毛目(はけめ)など様々な種類がある。
■関連リンク やきものの産地・朝鮮半島
香蘭社(こうらんしゃ)
明治7年に設立された有田の磁器工場。輸出向けの大量生産を目指し、現在も有田の主要工場。
呉器(ごき)
李朝(りちょう)時代に作られ、見込が深く高台と丈の高い高麗茶碗。
古九谷様式(こくたにようしき)
伊万里焼(いまりやき)の中の様式の一つ。作風は五彩手・青手・南京手の三つに大別。
黒釉(こくゆう)
黒色に発色する高火度釉。中国では漢代の越州窯(えっしゅうよう)ではじまり、日本では古瀬戸からはじまった。
五彩(ごさい)
白磁や白釉陶に、赤・緑・黄・紫・青などの明るい上絵具で文様を描いた中国の色絵(いろえ)。
呉須(ごす)
酸化コバルトを主成分し染付(そめつけ)に用いる彩料。釉(うわぐすり)をかけ焼成すると藍青色になり、鉄釉(てつぐすり)に加え上絵具(うわえのぐ)の青としても用いる。
■関連リンク やきものの技法・コバルト
呉須赤絵(ごすあかえ)
赤や緑を主に鮮やかな色で、奔放な花鳥文、魚文などが描かれた中国明代の後期に焼かれた色絵磁器。
古染付(こそめつけ)
景徳鎮(けいとくちん)の民窯で中国明代末に焼かれた簡略な絵付の染付(そめつけ)。初期伊万里に多くみられる。
ゴットフリード・ワグネル
ドイツの応用化学者。日本の陶磁器やガラスなどの発展に貢献。白色陶器の釉下着彩に成功し、のちの旭焼と呼ばれる。
後藤才次郎(ごとうさいじろう)
九谷焼(くたにやき)の創始者。製磁法を習いに肥前(ひぜん)に向かい、中国清朝の陶工を連れて帰り九谷焼を始めた。
木の葉天目(このはてんもく)
黄褐釉と黒釉の二重掛けの上に、実際の木の葉を用いて葉脈まで残した、中国古州窯で作られた天目茶碗(てんもくちゃわん)。
コバルト(こばると)
下絵具として使用される青色の発色剤。19世紀以降ヨーロッパから輸入され、現代食器に多用。
■関連リンク やきものの技法・コバルト
粉引(こびき・こひき)
粉吹きともいう。白泥による化粧掛け(けしょうがけ)が粉を引いたように見えること。
小堀遠州(こぼりえんしゅう)
古田織部(ふるたおりべ)に学んだ茶人。遠州流の祖でもあり、彼の好みの茶器を作らせたのが、遠州七窯(えんしゅうななかま)。
御本(ごほん)
土の中に含まれている鉄分が窯(ようへん)変し、赤い色彩や斑点状の模様が現れること。
熊川(こもがい)
見込(みこみ)が深く、腹がゆったりとした丸みを帯び口縁はわずかに端反った高麗茶碗(こうらいぢゃわん)。
小山富士夫(こやまふじお)
瀬戸・京都で作陶を学び、1930年東洋陶磁研究所の所員となる。古陶磁器の調査及び研究に専念。
御用窯(ごようがま)
藩窯(はんよう)のことで、江戸時代に藩が殖産や専用の製品を作らせるために開いた窯。
近藤悠三(こんどうゆうぞう)
清水で開窯し、染付磁器に葡萄、石榴、梅、松などを題材に大胆豪放な作品を残した。
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