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VOL.17 意馬心猿文様(いばしんえんもんよう) | |
日本国語大辞典(小学館)によると「意馬」の項目に、「意、すなわち心の働きの移り変わることを奔馬の動きの激しさにたとえた語」とあり、海道記の序「心船佯(いつはり)の為に漕ぐ、いまだ海道万里の波に棹(さお)ささず。意馬荒猿(あらまし)に馳す、関山千程の雲に鞭(むち)うたず」 翁問答の四「その心の位意馬の奔走は、初学の間はおなじけれ共、その修行の道は真妄各別なり」 大慈恩寺三蔵法師伝の九「願託二慮禅門一、澄二心定水一、制二情猿之逸躁一、繋二意馬之奔馳一」 許渾の贈杜居士詩「機尽心猿伏、神間意馬行」などを例示している。 「意馬心猿」の項目には「(馬が走り回り、猿が騒ぎ立てるのを制しがたいところから)仏語。煩悩、情欲のために、心の乱れをおさえがたいこと」とあり、歌舞伎・和国五翠殿の一「是其侭の意馬心猿。されば此松の木は此法性の柱、貪欲の猿」 雑俳・柳多留の一○一「浅草に意馬心猿の道と町」 読本・椿説弓張月の後・二一回「又ふりあぐる刀尖(きっさき)に、まはる為頼嶋君も網手に狂ふ意馬心猿」 参堂契の発揮中「如其心猿不レ定、意馬四馳、則神気散二乱于外一、欲三望結二成還丹一、其可レ得乎」などを例示している。 また大漢和辞典(諸橋轍次著)にはこの他に、南唐書、元宗子従善傅「予之壮也、意如レ馬、心如レじゅう」 趙州録遺表「心猿罷レ跳、意馬休レ馳」をあげている。 この作品には煩悩と情欲の象徴としての馬と猿を心という文字を頂く柱にしっかりと繋ぎとめた、いわば静かに澄みきった水のような理想的な境地をあらわした、仏教の教訓的な図柄をあらわしている。 (吉永陽三)
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