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やきものの技法VOL.9 押型成形(おしがたせいけい)

 凹形の型に粘土を指で押しつけて成形する技法。内型成形や型押成形などとも呼ばれる。型を用いる技法を総称して型成形というが、凸型にかぶせる方法と凹型に押しつける方法に大別される。凸型、凹型ともに器を変形させたり、陽刻文など複雑で手間のかかる文様を量産するのにむいている。

凸型は器の内側が型に接し、文様がほどこされる。凹型の場合は器の外側が型に接するため、器の外側に文様ができる。ただし、器の内側には押さえた指跡やで凹凸がのこる。そのため凹型による押型成型は器にはほとんど用いられない。近代になって凹型を用いた機械ロクロが普及し、凹型による器も多く作られるようになるが、ここでいう押型成形とは区別される。機械ロクロによる凹型は、回転している凹型に上から金属のコテをあてて中の粘土を押しひろげ、器の内面がきれいに仕上げられる。押型成型は、基本的には指で型に粘土を押しつける方法である。 

 押型成型は内側に押さえ跡が残りやすいので、製品は内側が見えないようなものが多い。水滴、人形、水注や水注の把手などいずれも外面に陽刻文などが施され、しかも内部は中空である。この場合1つの凹型ではなく、2つの凹型を用いて継ぎ合わせている。3つ以上の型を用いることもあるが、2つの型を用いて成形し、後で各部分を接合して複雑な形態を作り上げるのが一般的である。

写真の馬形香炉は頭部、胴、4肢、尾は個別に凹型で作られ、後に接合されている。胴の横位置に継ぎ跡がのこり、押型成形の合せ型とわかる。
(鈴田由紀夫)
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No14号より(昭和61年発行)

■写真…白磁馬形香炉
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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