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名品図録

佐賀県 唐津焼
  k-011





撮影:藤本健八
絵唐津点文水指
(えがらつてんもんみずさし)
17世紀初期
高さ13.0 胴径21.0 底径10.5
 李朝陶工の陶技を受継ぐ下ぶくれの丸味の美しい姿は、これまでの唐津の壺の趣とは些か異なっています。成型の途中で、口作り縁の部分を失敗し、糸で削り取ったような感じもしますが、それがかえってゆったりとした安定感を持たせているようです。
 胎土は堅く焼きしまって赤褐色、やや青味を帯びた土灰釉の面に上下二段の点文を描いていますが、その模様が前衛的な構成です。細工用の車板にのせて、緩やかに回しながら点々と無意識に描いた様が手にとるようです。模様の錆色は天然の鬼板を集め、鉄砂に仕立てて使ったものでしょう。恐らく江戸初期か、もしかすると桃山末期か、生れは松浦唐津系の窯場と推定されます。
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