2004年秋季特別展 「乾山―幽邃(ゆうすい)と風雅(ふうが)の世界」
|
<会期>平成16年9月1日(水)〜12月15日(水) |
尾形乾山(1663〜1743)は、東福門院和子(まさこ)の御用達を勤めた京の高級呉服商、雁金屋(かりがねや)尾形宋謙(そうけん)の三男として京都に生を享けました。幼名を権平(ごんぺい)、名を惟允(これみつ)といい、のちに深省(しんせい)と改めますが、すぐ上の兄、市丞(いちのじょう)、すなわち天才的画家として後世に名を残すことになった尾形光琳とともに、多くの芸術作品を残したことで知られています。
乾山が歿してすでに260年が経ちましたが、「乾山」として今日に伝わる作品は陶芸のみならず絵画、書も含め、実に膨大な数にのぼります。乾山作品には、俗気を脱したおおらかで文人的な洒脱味があり、即興的な作品もみられる絵画や書、大胆なデザイン感覚とともに乾山特有の芸術的滋味あふれるやきものなど、その作品は今もなお人々の心を惹きつけてやみません。江戸時代の京都で、仁清が完成させた京焼の殻を打ち破り、有田磁器とのせめぎあいの中から活路を見出し、時代の風をつかんで次々と生み出された乾山のやきもの。京洛のディレッタント・乾山が目指したやきもの商売とはなんだったのか。
本展は、食器を中心としたやきもの本来の「用」の美にも焦点をあて、江戸時代の食文化を視野に入れながら、多角的に乾山の芸術世界に触れようとするものです。作品は国内のみならず、久方ぶりに海外から里帰りするものも含めて、合計約180点を展観します。詩画一体の銹絵(さびえ)には中国文人への憧憬が、定家詠月次花鳥(ていかえいつきなみかちょう)など和歌が散らされた色絵には雅な王朝世界が、そしてさまざまな器には食との競演がくりひろげられる、そんな乾山の幽邃と風雅の世界をお楽しみいただければ幸いです。
|
■展示計画
第1章 最後の町衆
第2章 京の乾―鳴滝乾山窯開窯
第3章 幽邃と風雅の世界
◆文人・乾山―その茶具と文具
◆王朝趣味への回帰
第4章 食器―乾山に見る用と美
◆器の美・食の美
◆唐物写し |