このほど、450点に及ぶまとまったイラン(ペルシャ)の出土品が、岡山市立オリエント美術館へ寄託されました。さまざまな時代の200点近いカラフルな陶器や土器、130点あまりの華麗な首飾り、そしてガラス器や金属器など、中近東の文化の主要な担い手のひとつ、イランの人々による工芸品が多数そろっています。
このおびただしい資料は、当時東京大学名誉教授で中近東の遺跡調査を行っていた故江上波夫氏を慕う個人所蔵家が、1960年代半ばにみずから広大なイランの土地を訪れ、歴史に名だたる遺跡を親しく見て歩き、現地の人に混じりながら情熱を注いで収集したものです。
したがって、その経緯は当館収蔵品の母体となった故安原眞二郎氏(当時岡山学園理事長)のコレクションと近似し、両者は互いに兄弟のような関係にあるものといえます。
この幻のコレクションは、所蔵家にはその生涯きっての熱い体験が凝縮された短い期間の思い出でもありますが、ここにはじめて一般公開されることにより、そのときの心の躍動が多くの人に分かたれることを願っております。
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