北大路魯山人(1883〜1959)は当初書家・篆刻家を志し、やがて料理・陶芸に才能を開花させて高級料理店「美食倶楽部」「星岡茶寮」を主宰、食と結びついた見事な造形世界を生み出しました。そして研ぎ澄まされた感性とあふれる創作意欲で、書画や陶芸など幅広い分野で制作活動を行っていますが、その60年にわたる歩みの中では金沢の漢学者・数寄人の細野燕台を始め、初代須田菁華、宮永東山、荒川豊蔵や金重陶陽など、多くの人々からの影響がありました。
そこで本展では魯山人の「出会いと美の変遷」をテーマに、書・篆刻・絵画・陶芸・漆芸など計169点を幅広く展示し、書家・篆刻家として世に出た「食客時代」、料理人そして陶芸家として活躍する「星岡茶寮時代」「星岡窯時代」の三つの時代を通して、魯山人が彼らと出会い、どの様に自らのテーマを形成していったかを紹介します。
石川県にもゆかりの深い魯山人の、芸術に対する純粋な思い、優れた審美眼を感じとって頂ければ幸いです。
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