江戸期有田では様々な焼物が造られましたが、なかでも海を渡ったきらびやかな色絵磁器は、東南アジア、西アジアひいてはヨーロッパの人々に愛され、もてはやされました。
オランダ連合東インド会社によって注文、輸出された磁器は、当時のヨーロッパ富裕層を魅了し、競って蒐集され、ポーセリンキャビネット(磁器の間)が作られるなど貴重な装飾品として珍重されました。一方それらは東洋趣味によるものばかりではなく、食器、手付瓶、薬瓶、調味料容れ、水注など、具体的な指示によってヨーロッパの人々の暮らしに密着した品々も数多く造られ、当時の王侯貴族の好みを反映しています。
このたび春の特別企画展では、『輸出伊万里』展と題して、海を渡った優品50余点をご紹介いたします。時代に即応した磁器を造りだす有田の伝統を感じていただき、当時のヨーロッパの暮らしに思いを馳せていただければ幸いに存じます。
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