大森貝塚の発見でも知られる動物学者エドワード・シルヴェスター・モース(1838〜1925)は、明治10年に東京大学で教鞭をとるため来日しました。日本陶磁器に魅了されたモースは、日本全国から5,000点に及ぶ様々な陶磁器を収集し、それらを産地や窯、陶工別に系統立てて分類・整理し、目録にまとめました。ボストン美術館に収められているこれらの陶磁器は、モース・コレクションとして、100年以上の時を経てもなお、当時の分類のまま保存されています。コレクションの中には、日本では記録にしか残っていない焼き物や、今となっては存在しない窯のものも含まれており、まさに“陶磁器のタイムカプセル”ともいえます。
本展覧会は、一昨年の「モース・コレクションの陶磁器―志野・織部―」展に引き続き開催するもので、文部科学省の科学研究費助成金で行われた研究調査による最新の陶磁研究の成果も反映しています。今回は「尾張」の陶磁器として収蔵されているものの中から、モースが「鳴海手」と分類している幻の茶入の一群を含む、日本初公開の30点を紹介します。
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