松岡美術館所蔵の東洋陶磁は、国内の陶磁器コレクションの中でも優れた鑑賞陶磁コレクションとして知られています。「鑑賞陶磁」とは、茶陶などの実用品としてのやきものではなく、美意識を第一とした鑑賞性に優れた美術品としてのやきものです。現在北京・台北の両故宮博物院に所蔵される宮廷陶磁は質・量ともに世界で最も優れた鑑賞陶磁コレクションであり、また20世紀初頭の欧米において収集された東洋陶磁コレクションもほとんどが鑑賞陶磁コレクションです。欧米のオークション市場から蒐集された当館所蔵の東洋陶磁も、故宮や欧米のコレクションと同じく気品にあふれた鑑賞性の高い陶磁コレクションといえます。
本展では、特に鑑賞陶磁として高く評価されている中国陶磁と高麗青磁の優品を館蔵品の中から精選して展観いたします。中国陶磁は独自の優れた製陶技術に支えられた高い芸術性をもつやきものであり、漢代から清朝にかけての各時代の優品を中心にご紹介致します。また、高麗青磁はその中国の越州窯青磁から影響をうけて生まれた高麗時代を代表するやきものであり、「翡色」と呼ばれた美しく澄んだ青緑色釉をもつ高麗青磁は当時から高く評価されていました。今回は館蔵の高麗青磁約15点を出陳いたします。当館所蔵品を代表する東洋陶磁コレクションの名品をこの機会にご堪能いただければ幸いです。 |