わが国において「やきもの」の歴史は古く、はるか古代にまでさかのぼりますが、人々の生活の中に深く浸透し、多種多様な「やきもの」が大量に消費されるようになったのは、江戸時代になってからのことです。そのため、江戸時代には、大小の窯が全国に生まれました。この中には、その経営全般にわたって、藩が大きく関与した窯が数多く見られます。これらの窯を「藩窯」と呼びますが、その果たした地域的役割は決して小さなものではありません。
そこで今回の企画展では、前期では九州各地の、後期ではその他各地の著名な「藩窯」の名品の数々を通して、それぞれの地域の持つ「やきもの」の味わいと生活文化をあわせて紹介したいと思います。
江戸時代、武家の城下町として栄えた小倉の地に、北は加賀藩(石川県)から南は薩摩藩(鹿児島県)の名品が集います。各藩の「やきもの」の持つ美しさや技術の素晴らしさに触れながら、今も昔も私たちの生活に欠かすことのできない「やきもの」の魅力について、今一度見つめ直していただく機会となれば幸いです。
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