民藝陶器の人間国宝(重要無形文化財保持者)である濱田庄司(1894〜1978)は、現在の神奈川県川崎市に生まれました。19歳で東京高等工業学校窯業科に入学し、そこで板谷波山に学びます。卒業後、先輩の河井ェ治郎とともに京都の陶磁器試験場に入り、釉薬の研究に4年ほど携わりました。大正9年(1920)、26歳の時にイギリスの陶芸家バーナード・リーチとともにイギリスのセント・アイヴスに渡り、工芸作家としての活動を開始しました。
1924年に帰国した後、栃木県益子に拠点を移した濱田は、沖縄の古窯「壺屋」で伝統的な技法やかたちを学び、「黍文(きびもん)」や「赤絵」など、濱田の独特な表現を身に付けました。また、民藝運動の中心人物として各地の窯を調査し、その成果を自らの制作にも活かすなど、第一線で活躍した作家です。
本展覧会は、絵描き志望であった学生時代に投稿した雑誌の挿絵やイギリスのセント・アイヴス時代に制作された初期作品から晩年の作品までの約170点の資料をもとに、濱田庄司の生涯にわたる作品を通覧できる展覧会です。濱田庄司の足跡をたどり、陶芸家として全貌を紹介します。 |