曜変天目、および唐物茄子茶入の「付藻茄子」は、中国からの将来品である「唐物」のなかでも格別に扱われ、大切に伝えられてきた茶道具の至宝です。
本展は、この両作品に代表される静嘉堂の茶道具から、とくに由緒伝来の明らかなもの、造形的な美しさを兼ねそなえた名品を中心に、鑑賞の歴史、賞玩されてきた作品の風格と美を、ご紹介するものです。
岩崎彌之助(一八五一〜一九〇八・三菱第二代社長)と岩崎小彌太(一八七九〜一九四五・三菱第四代社長)、父子二代の蒐集にかかる静嘉堂の美術品コレクションのうち、茶道具については、明治初めのころ、若き彌乃助が、大名物の唐物茶入「付藻茄子」を「松本茄子(紹?茄子)」とともに、年末の給与を前借りまでして購入したことが蒐集の嚆矢でした。中国陶磁に見識があり、晩年茶の湯にも親しんだ小彌太の時代にも優品が加えられ、茶道具の名品が幅広くあつまることとなりました。仙台藩主伊達家・加賀藩主前田家・淀藩主稲葉家など旧大名家の伝来品をはじめ、鴻池家・平瀬家といった豪商の道具類、著名な茶人、陶工の手によるもの等、いずれも次第整う、格式ある姿を今日に伝えています。
静嘉堂所蔵の茶道具の名品を一堂に公開致しますこの機会に、是非ご来館ください。
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