(財)美術工藝振興佐藤基金の前理事長であり、当館のコレクションの核となる作品を蒐集した佐藤千壽(雅号「石洞」)の茶道具を展示致します。
佐藤千壽(1918-2008)の蒐集は、高麗青磁との偶然の出会いから始まりました。その後、60年余りの歳月をかけて、陶磁器を中心に世界各地の美術品を蒐集しました。なかでも、明時代末期に景徳鎮の民窯で焼かれ、日本の茶人に愛された古染付は佐藤が最も愛した陶磁器の一つです。本展では、古染付の茶碗を始めとして45点あまりの茶碗を展示致します。世に知られた名碗揃い、というわけではありませんが、それぞれの茶碗との出会いを大切にした石洞山人ならではの味わい深い茶碗ばかりです。
陶磁器をこよなく愛した佐藤ですが、重要無形文化財保持者(人間国宝)の初代長野垤志(1900-1977)との交流から、茶の湯釜の美しさに目覚め、蒐集をした時期がありました。今回、芦屋釜・天明釜を中心に、重要美術品を含む16点の茶の湯釜を初めて一堂に展示致します。
本展では、茶碗と茶の湯釜を中心に、当館の所蔵する茶道具約100件を展示致します。
石洞山人の茶道具を通じて、現代を生きた一人の蒐集家の世界を感じて頂ければ幸いです。
|