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様式化された花「唐花」・組み合わせ文様の「竜田川」・「葡萄りす」


文様として描かれている植物は数多くあります。 植物では菊・牡丹・桜などが多く登場します。また様式化された実在しない花「唐花」もよく用いられます。植物や果物の文様で目立つのは組み合わせの文様です。植物文では、桜と楓の組み合わせの「雲錦手(うんきんで)」、ススキと月の「武蔵野」、紅葉と流水の「竜田川(たつたがわ)」などがあります。

 「雲錦手」は桜の雲・紅葉の錦の意味で、「武蔵野」や「竜田川」は古典文学に登場する風景からネーミングされたものです。竜田川とは、奈良県に流れている川です。この竜田川に紅葉が流れている様子を在原業平が「千早ぶる神代もきかず竜田川、からくれないに水くくるとは」(小倉百人一首のひとつ)と詠ったことから文様の名前が由来しています。

 また果物では柘榴(ざくろ)・仏手柑(ぶしゅかん)・桃の三種の組み合わせを「三果文(さんかもん)」とよび、これは吉祥文様のひとつでもあります。柘榴は実が多いことから子孫繁栄を意味し、桃は豊かな実りのイメージから寿を表しています。仏手柑はちょうど仏の手を連想させるような形をしています。これもおめでたいことを意味しています。また実が多くつくことから多幸・多産を意味する葡萄(ぶどう)もリスとの組み合わせで「葡萄りす」として描かれています。「葡萄りす」は中国で16世紀中期に流行し、日本でも初期伊万里の時代から描かれるようになります。



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