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観光ガイドサービスが始まりました
 有田町では、直線距離にして東西約6km・南北約2.5kmの範囲の中に有田焼の店や窯元が所狭しと立ち並んでいます。普段は静かな町ですが、春の有田陶器市ともなるとここに全国から100万人以上のやきものファンが訪れ、芋の子を洗うような活況を呈します。ある種殺気だった有田陶器市の中でよく目にする光景が、町の各所で配られているMAPを広げているお客様の姿です。「ここはどこなの?」「どこに行けばいいの?」「○○を売っている店はどこ?」など、一緒に来た人たち同士で話し合ったり、携帯電話で声高に連絡を取り合っている様子があちこちで見受けられます。
 普段でも、さほど広くない町ですが「えっ、こんなところに窯元があるの?」とか「古い町家があるのね、いつごろの?」といった声をよく耳にしますので、遠くからいらっしゃった方にはやはり分りにくいけど、興味が湧く町のようです。
 このような要望に応えるべくガイドのサービスが開始されました。ガイドサービスを始められたのはNPOの「有田町どっとこむ」。今回は有田どっとこむでガイドをされている中村貞光さんと吉岡千恵子さんにインタビューしました。


―10月からガイドを始められたそうですが、この1ヶ月間で何回、何人の方をガイドされたのですか?

中村さん 
22回で、127人の方をガイドしました。ここにいる吉岡さんと私と、もう一人の3人で対応していますが、どうしても土日が多いですね。お一人のケースもありますが、団体さんもあって平均すると1グループ5.8人。1回あたりの平均所要時間は約3時間となっています。

―どういった方々がガイドの申込をされていますか?

吉岡さん 
申込をされるのはJRで配られているチラシを見てされるんですが、中には旅行代理店からもオファーがあります。しかし、事前の申込よりも当日の申込が多いんですよ。実は私が有田駅前に立っていまして、お困りの様子のお客様に声をかけるんですよ。そうすると、「じゃー、ガイドを頼もうかしら」ということで、申し込まれる方も多いですね。

―来られるお客様は様々なニーズをお持ちですが、どういうコースを希望されるんでしょうか?

▲観光資源としても注目のトンバイ塀
中村さん モデルコースを用意しているんですが、でもほとんどがオリジナルコースになっています。希望としては「作っているところを見たい」というのが一番多くて、次に「たくさん見たい」、それから「分らないのでお任せ」ですか。有田の三右衛門と言われる柿右衛門・今右衛門・源右衛門を見たいと言われる方も多いですね。

―お客様の要望にあったコースを回られるということですが、どういったお話しをされるんでしょうか?

中村さん 
有田焼の歴史、有田町の歴史、名所の説明、有田焼の技法などですが、例えば窯元さんや九州陶磁文化館を訪れたときなどは、窯主さんなどに話してもらったほうが喜ばれますね。

―ガイドのサービスを受けたお客様の反応はどうでしたか?

▲吉岡千恵子さん
吉岡さん 感動の連続です。有田駅などで別れるときは、感動の握手、そして涙。私たちも有田町に住んでいますでしょう。行く先々の人と顔見知りなわけですから、親しく声を掛け合うのをご覧になると感動されますね。
「えっ? あの○○先生ですか!」というふうに、旅の最良の思い出を提供できたと思います。


中村さん 
今、吉岡さんが言ったように、人と人との触れ合いが感動を生んでいると思っています。更に有田の歴史や有田焼の原点を知っていただくことで、有田のファンになっていただけると思います。今後は、どんどんそういうファンのリピーターを増やしていきたいと思っています。

―このガイドサービスはちゃんと料金を取って事業として行われていますが、お客様などは有料ということに対してどう思われているのでしょうか?

中村さん 
料金を見ていただくと分ると思いますが、人件費を含めてこの料金ですからほぼ実費ですね。お客様からは不満はありませんよ。今まで、有田では個々に無償でガイドをされていたと思うんですが、それが育ってはいませんよね。やはりそれなりの付加価値をつけて有償化すべきだと思います。そしてお客様に感動していただければいいと思いますよ。

―有田どっとこむではスタンプラリーも合わせて企画されて実施されていますが、こちらの方の反応はいかがですか?

吉岡さん 
お客様にアンケートをお願いしていますが、スタンプラリーが終了次第、集計して参加店にフィードバックする計画です。こちらにもいろいろとお客様の声を書いていただいていますが、その中で参加店から出していただいたプレゼント応募の結果なども参考になるのではないかと思っています。

―ガイドサービスを開始されてから1ヶ月間ですが、色々と問題点や課題が見えられてきたと思いますが

▲中村貞光さん
中村さん そう、先ず私たちの知識不足。これはやりながら勉強していかねばと思っています。それと、輸送手段ですね。町にはコミュニティーバスがありますが、時間が決まっていますし、小回りが利きませんので、タクシーを利用させてもらっていますが、これでも足りませんね。

吉岡さん 
そうなんです。例えば4人で来られた場合に、タクシーに乗ろうとすると私が乗れなくなってしまって、仕方なく運転手さんに行く先のガイドを頼むということもあります。

中村さん 
ですから、10人以上乗れるワゴン車がほしいですね。そうすると小回りが利くので希望に合わせてもっと回れると思いますよ。

吉岡さん 
それから、外国の方も多いですから言葉の問題があります。

―今お話いただいた課題を踏まえて、今後の展開を教えていただけますか?

中村さん 
もっとガイドの要員をふやしていきたいですね。私たちが受けた講習よりも現地でのカリキュラムを増やした内容で、充実したサービスを提供できるようにしていきたいですね。ガイドは観光に来られた方に感動を提供する接客業だと思っていますから、そういうプロのガイドを町と連携しながら育成していければと思っています。

―では、最後にこの観光ガイドのサービス事業により、受け口となる町の反応はいかがですか?

中村さん 
今まで閉まっていたお店の主人の方が、お客様を案内してくるようになってから「店を開けんといかんね(店を開けないといけないね)」と言われるところが出てきました。少ずつですが、有田に風が吹き出してきたなという実感があります。

吉岡さん 
最近では、町でタクシーに出会うと運転手さんが手を振ってくれるようになったんですよ。

▲有田どっとこむ・深川理事長
インタビューに応じていただいた中村さんも吉岡さんも、自信にあふれた表情で語ってくれました。今後の展望の話の中で同席された有田どっとこむの深川理事長は「有田には観光協会があるんだけど、きめ細かな対応ができる民間が運営する観光協会が必要」と力説されていました。11月23日からは「秋の有田陶器市」が開催されますし、正月、そしてひいな祭り、更には春の有田陶器市と今後イベントが目白押しの有田に、新しく登場した観光ガイドのサービスの本番が待っています。その効果に期待しながら見守っていきたいと思います。

 「有田どっとこむ」の観光ガイドの内容は以下のとおりです。
●観光ガイド料金(1時間あたりの料金)
<個人>
1〜3名   1,500円
4名     2,000円
5名     2,500円
6名     3,000円
7名     3,500円
<団体>
8〜15名     3,000円
16〜23名     4,500円
24〜31名     6,000円
32〜39名     7,500円
40名〜      9,000円
※ ガイドは1名。ガイドの追加は1名につき各1,500円を増額。
※ 上記料金には運賃、施設の入館料、食事代は含まれません。

● お問合せ先
特定非営利活動法人 有田町どっとこむ
佐賀県西松浦郡有田町岩谷川内1−3−14
TEL 0955-41-1517 FAX 0955-41-1518

● URL
http://arita-abc.net/dotcom/  (こちらからも申込可能)



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