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去る12月17日に開催された販売交渉力向上教育訓練事業の第1回研修は、産業能率大学主幹研究員・酒井宏之氏による「売上倍増大作戦『今の売上
満足していますか?』」と題する研修会が開催され、会場となった大有田焼会館には販売に携わっておられる34名の方々が参加されていました。
講演の内容は、ブランドと市場の関係、市場開拓に必要な戦略、売れる売り方づくりなど、有田の現状を踏まえながら、進むべき方向性を導き出されていました。
酒井氏は冒頭、市場の細分化が進んでいるため、スリムな体質にして対応しなければならないとし、ブランドと市場の関係について、市場は需要よりも大事であり、顧客づくりだけでは市場は形成できない。ブランド「安心+知名度+期待」こそが市場を作っていくものであり、特に「期待」されることが重要であると力説されていました。そして市場を開拓していくポイントとして、顧客管理の仕方、売れなかった商品のデータ分析、商材を市場に投入し商品化させることなどを挙げられていました。更に、売れる売り方作りとしては、先ずお客の年齢と趣味を読むこと、そして様々な使い方を考えて提案することが大切であるとされていました。また、市場にはサイクルがあり誕生期にはニーズの先取りをした商材をいち早く投入し、成長期にはよりよい商品を、成熟期にはより安い値ごろ感のある商品を投入しなければならないと、時機を見ながら商品を育てていく姿勢が大事だと指摘されていました。
また、講演中に有田焼のブランド力に言及され、「有田焼は商品ブランドなのか、産地ブランドなのかよく分からない」と感想をもらされていました。これは私たちも日頃感じていることではありました。有田焼の具体的イメージが人により様々なのでないでしょうか、古伊万里風の豪華絢爛とした器をイメージする人がいれば、柿右衛門様式や鍋島様式をイメージされる方もいたり、はたまた特定の窯元さんの商品をイメージする人もいたり、有田の町並みを思い浮かべる人もいたりするかも知れません。様々な要因を包含しつつ形成されていったのが有田焼の特徴であり、幅が広いとも言えるかも知れません。しかし、幅が広いがゆえに、ブランドとしてはパワー不足となってしまっているのではないかと懸念されます。
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翌12月18日にはデザイン力向上教育訓練事業の第1回研修会が開催されました。講師は潟Rボの代表取締役社長であり、Gマーク選定委員など数々の役職を持たれる山村真一氏による「食トレンドから有田焼商品開発のあり方について」と、『レクサスが一番になった理由』の著者であり食の情報誌『SAVOUR(味わう)』編集長・ボブ・スリーヴァー氏による「世界及び東京の食トレンドについて」と題する講演が開催され、会場には窯元さんをはじめ60名以上の方々が参加されました。
山村氏は自らが手がけられたプロダクツデザインの事例を紹介されながら、商品開発の必要性とその要諦を述べられました。商品開発をするには、先ず時代がどう動くのかを知ることが大事であり、そのためには時代背景や環境・周囲の事物の変化で物が変わることを認識して物事を見ていく必要がある。例えば今は「有機物」から「無機物」へと時代は動いているとされ、有機物とは石油など、無機物とは鉄やチタン・セラミックスなど。これらのカラーリングはシルバーが主流となっていることを指摘され、「待ち構えてトライする」ことの重要性を説かれました。
更にブランド戦略の重要性について、試作・実験段階から複数のメディアで情報発信を行い、市場を探りながらニーズを掴み、プロトタイプでショーを行ってイメージを売り出し、その後に一般商品を売り出すことが大切であるとし、時には強烈なイメージリーダーや商品を引っ張っていく付加価値の高い商品も必要と話をされていました。
今村氏の後にボブ氏が講演され、今の食のトレンドとして、「安全」と「健康」を主軸にして、「エンターテイメント」と「コミュニケーション」が付加されている事例を紹介されました。また、キーワードとしては有機栽培・ローカル・スローフーズが挙げられるが、その底流には「ナチュラル」への希求が見てとれる。そしてお客はモノの性質や機能よりもストーリーを求めていて、シチュエーションや雰囲気を大事にするようになったことも紹介されました。そして、情報発信の仕方も宣伝よりも広報に力を入れるべきであると力説されていました。
三氏の講演に共通するものとして、市場の細分化への対応、商品開発力の少なさ、情報発信の少なさ、そして原価の積み上げではなく価格から利益を引いた原価の設定といった、有田が抱える主な問題点が浮き彫りにされ、今後の方向性が示されたといえるのではないでしょうか。産地の方々の活躍を期待するとともに、うまか陶としてもやきものの一ファンとして産地が活性化すればうれしい限りですので、応援をしつつ取材を続けていきます。
お問合せ
伊万里・有田焼産地再生プロジェクト推進協議会
佐賀県西松浦郡有田町中部丙954番地9 大有田焼振興協同組合内
担当 鐘ヶ江・渕野
電話0955−43−2121 FAX0955−43−2100
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取材協力:大有田焼振興協同組合
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