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陶磁器のグッドデザイン賞受賞といえば波佐見の白山陶器さんが有名ですが、有田焼では恐らく初めてと思われるグッドデザイン賞を昨年受賞した「ronde:ロンド(輪舞)」シリーズ。デザイン性が高く、有田の伝統的意匠である「輪繋ぎ」をモチーフにしたデザインはなかなかオシャレ。
2002年度のグッドデザイン賞を受賞したrondeシリーズは、リユース、リサイクル素材を使い、新しい価値を与えるデザインをした商品に与えられる第6回国際デザインリソース・アウォードコンペティションの社会人部門の優秀賞も受賞している商品。
rondeシリーズに対するグッドデザイン賞の評価は、独創的/使いやすい/新しい作法・マナーを提案/エコロジーデザインを提案/新技術・新素材を利用/社会・文化的な価値を誘発などとなっています。
rondeシリーズは有田の業界全体で取り組んでいる環境・人にやさしいブランド「有田エコポーセリン21」の一環から開発された商品です。有田エコポーセリン21とは、製造過程で出る規格外品を細かく粉砕し、原料に21%混入させ陶土としているそう。ここには市販されている商品は入っておらず、今まで不可能とされていた白磁の再生を成し遂げたそうです。開発初年度の2002年には産地内の何社かの商社と窯元が組んで商品開発を行ったそうですが、2年目の2003年では柴田夫妻コレクションを寄贈された柴田さんの提案もあり、外部のリビングデザインセンターOZONEにデザイン公募を依頼されたそうです。
集まった40件ほどのデザインの中から5件が採用され、それぞれ商社と窯元の協力で商品化され、「smart」「CONIC」「ハイブリッド」「O-dish」「ronde」として販売されています。今回グッドデザイン賞を受賞したrondeはデザインをpock
designさん、製造は伊万里の瀬兵さん、販売をまるぶんさんのコラボレーションで誕生した商品です。
rondeのデザインコンセプトには伝統的意匠の「輪繋ぎ」をハンギングに利用するという、今までの有田焼の食器にはなかった発想でデザインされています。また、手に持つところを連続的に角度を変えていくことで、ユニバーサルデザインも実現され、さらにスタッキングもできるというデザインになっています。
「ハンギングはすごい発想」と語る(株)瀬兵の瀬戸口社長や、「従来、有田焼では皿や飯碗などの基本的な形状はほぼ完成されていて、こういう発想は出てこなかった」と語る(株)まるぶん・篠原社長。消費者にとっては、有田焼というとどうしても古典的なイメージが強い。伝統は生かしつつも新しいデザインに挑戦することは、時代の要請でもあるし、そのような商品を見ることは、消費者にとっては新鮮であるし楽しいこと。異業種あるいは外部のデザイナーとのコラボレーションは、新鮮な有田焼デザインを産む可能性を充分に秘めている。そして今回、陶磁器業界以外のデザイナーの発想によって権威あるグッドデザイン賞を受賞できたことは、エコ+外部デザインが新たな市場を生み出す可能性もあるように思えます。
しかし、「手には取っていただけるが、購入していただけるお客様は少ない」と語る篠原社長、デザインが優れていても消費者にはまだまだ受け入れてもらえない。これは何もrondeに限ったことではないようで、有田エコポーセリン商品共通の悩みでもあるようです。消費者の意識としてはエコ=リサイクル=使い古された物が入っているというのが大多数のようですし、特に食器は口につけるものだからなおさら気になるのが人情。そこで、次回は「有田エコポーセリン」に焦点を当てて紹介します。
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取材協力:大有田焼振興協同組合
株式会社 まるぶん
株式会社 瀬兵
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