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VOL.22 八卦文様(はっけもんよう) | |
「はっか」とも読み、やきものの名称としては「算木(さんぎ)文」とも呼ばれる。「八卦」とは、もともと古代中国に「易」に由来し、一般に占いに用いられるが、中国で発達した世界認識の理論・方法でもある。「易」によれば、世界の根本は「太極(たいきょく)」と呼ばれ、そこから「陽儀(ようぎ)()」と「陰儀(いんぎ)()」が生じ、さらに分かれて「四象(ししょう)(太陽;」、少陰;、少陽;、太陰;)」が、そして「乾(けん)()」「兌(だ)()」「離(り)()」「震(しん)()」「巽(そん)()」「坎(かん)()」「艮(こん)()」「坤(こん)()」の8つの「卦」、つまり「八卦」が生じるとされる。「」「」の数によって、原理的には無限の組み合わせが可能となる。つまり、「」と「」というふたつの基本要素の組み合わせによって、世界を二進法的に把握する思想である。それゆえ、この基本原理により未来も予測可能であり、占いとしての性格ももつ。
「易」による占いではそれぞれの「卦」をふたつ組み合わせた「六十四卦」をつくり、それぞれの「卦」がもつ意味を読み解き、未来を占う。写真の作品は、中央に八卦の「乾」を書き、周囲に八卦文を均等に配している。この作品は八卦を正確に描くが、初期伊万里の八卦文には、「」のみを8つならべたものや、八卦文同士が接続し、雷文のような形になるもの、あるいは4つしか「卦」を描かないものなどさまざまがある。これは、絵書きが「八卦」の意味を正確に理解せず、単にデザインとして見たか、省力化の結果と考えられる。いずれにしろ、文様がその本来の意味を失い、変形していく好例といえよう。 (渡辺芳郎) |
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