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VOL.19 太湖石文様(たいこせきもんよう) | |
「日本国語大辞典」によると、太湖石は石灰岩の一種。中国の太湖から産出したのでいう。洞庭湖などからも産出し、特に水の浸食により奇怪な形をしたものを庭園や植木鉢に置いて観賞用とする。わが国では岐阜県明星山から産出されるという。 『旧唐書・白居易伝』には白居易(773〜846 字は楽天)が刺史として蘇州に行った時、太湖石を五つ得て帰ったという。この頃すでに愛玩されていた。 太湖は中国江蘇省南部と浙江省との境にある湖の名で、湖には七十余りの小島がある景勝の地。 「大漢和辞典」によると、太湖は湖の名。古の震澤。又、具區・笠澤・五湖ともいう。湖中には小山が多く、其の上には多くの果園があり、景色がすぐれているので、世に洞天福地という。『読史方輿紀要、江南、大川』には、太湖は蘇州府の西南三十里、堂州府の東南八十里、浙江湖州府の北二十八里、(中略)、縦広さ三百八十三里、周囲三万六千頃(頃は田の広さの単位、百畝ときに十二畝半)とある。 太湖石については、峯・渓・洞などの形をした石で『揚州画舫録』には、太湖石は太湖の中にある石骨で浪の激しさと永い年月によって自然に穴があき、水中にあるので運ぶのがむずかしいと述べている。 写真は柿右衛門様式の鉢であるが、中央下部に二つその左に一つの太湖石を配置している。 狩野派の絵画によく見られる図柄のひとつである。 簡略化がすすむと、輪のように描いて、本来それが岩であったことがわからなくなっているものもある。 (吉永陽三)
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