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VL.15 雷文様(らいもんよう) | |
渦巻形が方形になった文様。複数個の方形渦形が一組になって文様を形成する。中国の伝統的な幾何文様として知られる。中国の東南沿岸地区で新石器時代から漢代ころまで盛行したという印文土器に雷文があらわされている。また殷周の青銅器にもみられ、宋の大観年中(1107-10)に撰された『博古図』には地文として雷文が描かれた周代の青銅製の水を盛る器「周へん地雷紋い」を紹介している。ギリシアでは「メアンダー」といって紀元前9世紀頃から幾何学様式の陶器に用いられている。名称は小アジアのトルコにある曲折のはなはなだしいメンデレス川に由来するという。 北野天満宮に蔵される『北野天満縁起』絵巻(「承久本」と称される。1219年の作と推定)の巻第五には雷神となって清涼殿で猛威をふるう菅原道真の怨霊と立ち向かう藤原時平が描かれている。稲光りの先端は後世にみるような明確な雷文とはなっていない。しかし廊下からころげ落ちようとする公郷のつけている裾(きょ:束帯の背面下方につけてひきずる部分)には雷文が描かれているのが注目される。 江戸時代には「いなづま」とも呼ばれ、小袖雛形(こそでひながた)のひとつ『源氏ひいなかた』(貞享4年・1687刊)には「角いなづま」「菱いまづま」として雷文を紹介している。写真に紹介する作品は18世紀の作品。鐔状の口縁部には青磁釉を施し、内面には染付で藍地に薄瑠璃色の雷文をあらわす。雷文の縁は墨弾(すみはじ)きによる白抜きの線でくまどりされている。 (吉永陽三)
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