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VOL.14 宝尽文様(たからづくしもんよう) | |
万葉集五・八〇三「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる多可良(たから)子にしかめやも<山上憶良>」とあるように古代から宝については金銀・珠玉などの貴重な品をいってきた。そして宝は人々の欲望の対象として、それをめぐる悲喜劇がうまれてきた。「たから多ければ身を害す」「たからの山に入りながら手を空しくして帰る」「たからは身の差合(さしあわ)せ」などといった人生哲学的なことわざも多い。 鍋島の皿や壺には種々の宝を描きこんだ作品がある。望む物を思うままに出すことができるという如意宝珠や打出(うちで)の小槌(こづち)。着用すれば透明人間になれる隠蓑(かくれみの)や隠笠(かくれがさ)。知恵の宝庫である巻子や冊子。巾着(きんちゃく)には銀貨、お守り、香料などを入れる。それはまた金嚢(きんのう)・砂金袋ともよばれる。丁子(ちょうじ・丁字)は南方産の花の実で乾燥したものを丁香(じんこう)といい香料・医薬となる。法螺貝は八宝のひとつで戦の合図に使われ、また密教の灌頂用具である。高僧のもつ払子(ほっす・蝿を追い払う具)。扇子は八仙のひとりである鐘離の持物。宝剣も八仙のひとり呂洞賓の持物。八仙人の持物は暗八仙といわれている。 楽器では笙、びんざさら(編本・拍板、田楽の主要楽器)、鐃鉢(にょうはち・シンバルのようなもの)がある。この写真にみえる宝尽文様は以上であるが、別の作品にはほかに銀行のマークとして知られる分銅や、七宝(これについてはこちらを参照→)、如意宝珠に火焔をともなった火焔宝珠、そして宝(ほう)やく(宝庫をあける鍵)などが描かれている。 (吉永陽三)
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