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VOL.6 蛸唐草文様(たこからくさもんよう) | |
唐草文様の一種。渦状に巻く蔓(つる)の外側に、葉を簡略化してつける。それがちょうど蛸の足の吸盤をおもわせるところから俗に蛸唐草文様とよばれる。中国宋時代の磁州窯の作品に古い例がみられる。アメリカのカンサスシティにあるネルソン美術館所蔵の「白釉黒花龍文瓶」(11〜12世紀)の高台周囲にこの蛸唐草文様が線彫りであらわされている。また同じ頃の磁州窯の「白釉印花唐草文枕」の縁どり文様にもみられる。元時代の吉州窯には磁州窯の陶工が多く入ったといわれ、作風が似ているものがある。吉州窯の「白地鉄絵唐草文双耳瓶」(14世紀)の胴には鉄絵で蛸唐草文が描かれている。韓国全羅南道新安沖の沈没船から引き揚げられた中にもこの吉州窯の「白地鉄絵唐草文瓶」(14世紀)があり、同様の文様が鉄絵で描かれている。このように宋から元にかけての文様として鎌倉時代の日本に紹介された。 有田皿山では江戸時代中頃から、写真に示すような皿の縁どり文様として描かれ、壺の肩の部分、あるいは徳利や猪口の胴全面に描かれて以来、今日まで愛用されている文様である。 (吉永陽三)
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