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VOL.28 掻き落し(かきおとし) | |
装飾法のひとつ。中国の磁州窯の作品には、掻き落しによって文様を表わした作例がよく知られている。永青文庫に所蔵される重要文化財の「白釉黒花牡丹文瓶」(11〜12世紀)、白鶴美術館に所蔵される重要文化財の「白釉黒花龍文瓶」(11〜12世紀)は、磁州窯の双璧として知られているが、ともに鉄絵の具を器面全体にかけてから、文様を鋭い刃物で線彫りし、背景の部分を丹念に掻き落して白地を出し、透明釉をかけて焼成している。 大阪東洋陶磁美術館に所蔵される「白磁銹花牡丹唐草文瓶」は、中国の定窯で11〜12世紀に作られた作品と考えられている。それは白磁の表面に鉄泥粧を塗りまわし、その鉄泥粧を薄く掻き落して、白地に銹色の牡丹と唐草の浮き文様を表わしたものである。そして白磁釉を全体に施釉して焼成している。 韓国では11〜12世紀の高麗時代の作品で、青磁鉄絵の作品群の中に鉄絵で描かれた葉文様の葉脈などに掻き落しが見られるが、それは掻き落しというよりも線彫りといったほうが適切かもしれない。15世紀の朝鮮王朝時代の粉青沙器に、白化粧した白土を掻き落して文様をあらわした作例を多く見かける。 初期伊万里の作例では、ここに紹介する「染付八卦渦文輪花皿」(柴田コレクションY-145)がある。生素地に塗り込めた呉須を箆で掻き落して、白抜きの算木模様を表わしている。その掻き落した部分はややくぼんでいる。 (吉永陽三)
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