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やきものの技法VOL.22 銅緑釉(どうりょくゆう)


 透明釉に酸化銅を3%から5%加えて酸化焼成をすると緑色の釉薬となる。これを銅緑釉、あるいは単に緑釉とよぶ。綾部焼の代表的な釉薬であるため、綾部釉とよぶこともある。

 釉薬の呈色材としての銅分は、釉薬に様々な色をもたらす。酸化で緑色となる銅緑釉は、還元されると鮮紅色となる。還元によって鮮紅色となる釉は銅赤釉であり、一般に辰砂釉とよぶ。酸化と還元によって銅は緑と赤に発色するのである。

 銅釉の基礎である透明釉の性質を変えると、発色が異なってくる。透明釉の中にソーダなどのアルカリがはいれば銅は青くなる。低火度釉の場合は、イスラム陶器に見られるようなスカイブルーの美しい色調が得られる。同じ低火度釉の場合でも、鉛釉が基礎材であれば、緑色の釉薬となる。漢の緑釉や唐代の三彩にみられる緑釉である。

 日本でも奈良時代に唐三彩にならった三彩が作られている。しかしその後はなくなり、16世紀にはいって今度は高火度の銅緑釉が美濃に現われる。唐津においても17世紀初頭に銅緑釉が白化粧とともに登場する。このルーツは朝鮮の陶技と考えられるが、今のところ朝鮮半島での窯出土の陶片が確認されていない。また織部の銅緑釉がどこから来たかであるが、化粧土をともなう点から唐津の影響とも考えられる。いずれにしても銅緑釉は陶器の装飾技法として唐津と織部において多様に展開し、その後日本各地の陶器窯で流行した。九州では沖縄県の壷屋焼、福岡県の上野焼、小石原焼などによく見られる。


(鈴田由紀夫)
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No29号より(平成6年発行)

■写真…銅緑釉湯庫
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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