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VOL.21 透彫り (すかしぼり) | |
細い小刀などを用いて器胎に文様を彫り透かすこと。生乾きの時に素地の一部を切り取りさまざまな文様を作る。器胎に穴を開けるため内部が見え、やきものが軽快な感じとなる。しかし構造的には弱くなり、焼成や出来上がってからの取り扱い時に破損しやすい。文様を彫るときも切り過ぎて隣の文様を壊したりすることがある。 やきものに穴を開ける程度のことは早くから行われてきたが、複雑で装飾的な透彫りは17世紀以降に盛んになる。たとえば17世紀初頭の備前焼には透彫りの釣燈籠や重箱がある。九州のやきものでは17世紀前半の有田焼にすでに透彫りの技法が用いられている。17世紀後半には繊細なものが作られるようになるが、京都の古清水にも優れた作品があり、17世紀末から18世紀にかけて透彫りが流行したようである。19世紀にも亀山焼や三川内焼に透彫りの技法が見られる。 透彫りがなされる器種は香炉、釣燈籠、菓子鉢、食籠、重箱などが多い。香炉は共蓋の場合は必然的に透彫りの技法が用いられる。燈籠は光によって透かしの文様が強調される。菓子鉢は縁に透彫りの装飾が施され、全体が豪華な感じとなる。食籠や重箱は中の食べ物が見え隠れする楽しさがある。 透彫りの文様は、切り取った部分が図となる場合と、地を切り取って残った部分が文様となる場合がある。香炉の蓋の丁子文や桜花文は前者にあたり、重箱の網目文や七宝繋文は後者にあたる。このほうが切り取る部分が多く、線の状態で残るため彫りにくいし、構造的にも弱い。 (鈴田由紀夫)
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