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VOL.20 重ね積み―蛇の目積み― | |
皿や鉢の内側を蛇の目状に釉剥ぎし、上に重ねる皿や鉢の高台が釉剥ぎした部分に乗るようにして焼成する方法。肥前の陶磁器においては、17世紀初頭からこの技法が見られる。磁器の蛇の目剥ぎは、砂目積みの技法と同じ時代に出現するが、砂目積みの技法が初期のみに行われるのに対し、蛇の目積みは江戸期を通じて続く。唐津焼の場合は銅緑釉や鉄釉の皿によく見られる。 皿や鉢の見込みをドーナツ状に釉剥ぎするのは、器を回転させカンナで削り落として行う。このとき素地が素焼きをしない生の状態であれば、釉薬だけでなく素地も削り取られる。出来上がりの作品の蛇の目部分が周囲より明らかに窪んでいれば、生掛けと考えることが出来る。 重ね積みは本来量産の技法であり、見込みに傷がつくことから高級品に用いられることはほとんどない。 蛇の目積みの技法は釉薬を剥ぎ取るため、その部分は光沢がなくざらざらしている。こうした欠点を補うため、重ね積みで焼成した後、上絵付けで加飾する場合がある。17世紀後半の有田の色絵磁器から19世紀の平佐焼まで幅広く行われている。写真の作品は平佐の色絵磁器であるが、本焼きは重ね積みされている。見込みを蛇の目状に釉剥ぎした後本焼きし、蛇の目の部分に黒で龍文を描き、さらに緑の上絵の具を全体に塗っている。 (鈴田由紀夫)
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