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やきものの技法VOL.13 青磁(せいじ)

 青緑色の釉薬が施された磁器のこと。青緑色は釉中にふくまれる鉄分を還元焼成することによって得られる。通常3%ぐらいの鉄分がふくまれている。これより少ないと青白磁となり、さらに少なければ白磁となる。また釉中の鉄分がふえると鉄分を還元しきれなくなり、黄色から褐色、さらに黒色の釉薬となる。

 青緑色または緑色の釉は、銅分をふくむ釉薬を酸化焼成することによっても得られる。しかし青磁釉のように透明性がなく、不透明で緑濁色である。またソーダ釉に銅分を入れると、トルコブルーのような低火度焼成用の青釉ができるが、これも青磁とはいわない。青く見えても、鉄分をふくむ釉薬を還元状態で本焼き(高火度焼成)したものでなければ、青磁ではない。

 青磁とは白磁の上に青緑色の釉を施されたものを基本とするが、胎が白色でなく灰色や褐色の場合も青磁と呼ばれることが多い。中国宋時代の青磁に、胎が褐色で釉が青白濁のものがある。我国で粉青磁とも呼ばれるが、これも青磁の1つである。青磁の色調はこのように釉の色ばかりでなく、素地の色で様々な色調を生み、また焼成の状態でも複雑に変化する。

 写真の水指は、南宋時代の龍泉窯青磁にならった鍋島青磁である。押型成形による唐花や唐草を素地に貼りつけ、文様の凹凸を青磁釉により強調している。凸部は釉がうすいため白く見え、釉の溜まっている部分は濃い青となる。
(鈴田由紀夫)
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No19号より(平成元年発行)

■写真…青磁唐花唐草陽刻文水指
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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