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VOL.7 たたら成形 (たたらせいけい) | |
粘土を板状にして、その均一な厚みを利用して成形する技法。板状の粘土を組み合わせるため「板作り」と呼ぶ場合もある。粘土の塊の両端に、同じ厚さの板(たたら板)をおき、その板にそって糸で粘土を切る。両端の板を一枚づつとりはずしながら切ると、板と同じ厚さの粘土板が何枚もできる。ろくろを用いない成形法として、手びねりやひも作りなどあるが、たたら成形もその一つである。ろくろ成形が回転を利用した円形の器作りにむいているのに対して、たたら成形は、板状粘土を生かした角形、箱形の器物作りにむいている。型に粘土板を押しあてて、変形皿を作る応用法もある。 起源については定かではないが、板状にした粘土による成形という意味では、相当に古くから行われてきた。我国における5世紀ごろの家型埴輪は、板状の粘土を組み合わせて制作されているが、粘土板がスライスしてできたものかどうかが問題である。もし粘土を叩いて平たくした技法であれば、単なる「板作り」といえるであろうし、たたら板を用いていれば「たたら成形」ということになる。 スライスした粘土板を型にあてて成形する技法を、有田では「糸切り」と呼んでいる。一般にいう糸切りとは、茶入れなどの底にみられる渦状の糸切り跡がのこる技法をいうが、有田の糸切りはたたら成形の一種を意味している。有田には古来、変形の皿を作る方法に、「型打ち」と「糸切り」があるが、前者はろくろで皿形を作ってから土型にかぶせて変形させるのに対して、後者は粘土板によっている。また高台は型打ちの場合は、ろくろ削りによる円形であり、糸切りの場合は、外形にあわせた変形高台が多い。両技法の出現は、前者が1620年代〜30年代、後者が1650年代と考えられる。 (鈴田由紀夫)
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