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2004年 第101回・有田陶器市 うまか陶スタッフ取材日記 |
■取材を終えて■ |
今年で101回目をむかえた有田陶器市。昨年は100回目記念だっただけに、今年はどういったイベントを行うか、次に繋げる新しい企画をどうするか、ということが関係者の間では考えられ、また外部の注目もあったと思います。 従来の各商店街のイベントに加え、べんじゃら広場で若い作家さんの作品展示、有田町役場前でダンスやトークショーまた大画面による映像配信などが催されました。いわゆる陶器市における「買いもの」以外の楽しみも以前と比べると随分増えてはきましたし、バラエティに富んだ出店も見かけ「見る」楽しみも増してきたなと思います。 しかし大きな枠での企画も大事ですが、結局お客さんはそれぞれの「店」いわゆる「売り場」と直接接して陶器市をを楽しむのですから、それぞれの「店」の努力は必須になってきます。 今年はこの各「店」の格差がぐんと出た年ではなかったかと思います。 あれだけの人がいるのに、ほとんどお客さんが出入りしない店もありましたし、朝から晩までお客さんがひっきりなしという店もあります。この格差は回数を重ねるごとに今後顕著になっていくだろうと予想されます。 |
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人をお客にするセールスプロモーションとは― とくに今回まわったブランド窯元さんはその「ブランド」名に甘んじることなく様々な仕掛けを工夫されています。今年110周年を迎えた深川製磁さんなどを一例に見ていくと…。 まずJR有田駅前には西有田町の「チャイナ・オン・ザ・パーク」へ行く案内バスをお知らせするプラカードを持った係りの人が立っていました。そこを目的とする人にはもちろんわかりやすいサービスですし、下調べをせずに来た人にとっても親切なサービスです。 メインストリートにある深川製磁本店さんでは福箱が販売されていましたが、この福箱はきれいな化粧箱でおしゃれなデザイン。加えて購入された方にはこれまたデザインのいい紙製のサンバイザーがプレゼントされていました。深川製磁の福箱を持って、サンバイザーをかぶって歩くお客さん。「あの人の持っているのは何だろう?」思わず振り向いてしまいます。 そうお客さんが歩く広告塔になっているんですね。しかもお客さんも堂々と持って、かぶって歩けるようデザインがしゃれているところがポイントです。 これだと購入したお客さんにも「深川製磁で買ったのよ」とちょっとした優越感を感じてもらえます。 すべての窯元さんやお店にこういった手法が有効だとはいいませんが、今後その「店」独自のセールスプロモーションを展開できない限り、「人はいるけどお客にならない」という結果が出てくると思います。 「人が多い」=「売上が上がる」という図式に持っていくためには「売り場」の工夫が必須といえるでしょう。陶器市に参加すれば売れるという時代は終わりつつあるのではないでしょうか。 |
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「陶器市」をバックアップする演出― そうなってくると共同で企画される大きなイベントもただ「見る」・「珍しい」だけではお客さんの陶器市に対する「満足感」を高められなくなってきます。大きなイベントこそ、いかに「陶器市」をバックアップできるか?を考えなくてはいけないのではないでしょうか。 例えば今回役場前にて大画面による映像配信が行われました。はたしてこれはどんな効果を狙ったイベントだったのか?確かに流れていた映像は有田の歴史や、職人さんの技を紹介するいい番組でした。 しかしこれをあの「場」で流す意図は? 大多数の人は「ぼんやり」見ていました。ああいった場所で「しっかり見て、聴いて」ということは非常に困難だと思います。せっかく視覚と聴覚にうったえられる機材を利用するなら、お客さんに「陶器市に来たぞ!」・「何か楽しいことがはじまりそうだ!」というサブリミナル効果的な映像を流したほうがいいのではないでしょうか? 短くてもいいのです、振り向いてもらえなくてもいいのです。「何か楽しい!」というイメージキャッチ的なコンテンツが必要だったのではと思います。「どうそ御越しください」というコメントではなく、もうすでに来ているお客さんに対する「よくいらっしゃいました!さあ楽しんで」というコメントが必要だったのでは?と思います。 |
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有田陶器市は集客・売上ともに全国では最大級の歴史ある陶器市です。昨年の100回記念の宣伝効果のおかげで、若い世代の集客も上りましたし、バスツアーの団体客も増えたと聞きます。またお客さんの層が変ることで、「とにかく安く買いたい」・「必要なものを大量に購入したい」という意識から「『陶器市』を体験したい」という目的変化もあるのも事実です。 こういった外部の変化に内部がどう対応していけるか。どう「場」を盛り上げていけるかが、今後の陶器市のあり方を決めていくのだと思います。「有田陶器市」が「有田の陶器市」になるのか「有田である陶器市」になるのか今後の行く末に期待したいと思います。 最後に関係者のみなさん、町のみなさんおつかれさまでした、そしてありがとう! また来年も楽しみに出かけたいと思います。 |
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