「大日本物産図会」は、三代広重によって制作された三冊の錦絵集です。各地の産業や特産品を描いたもので、簡単な説明文も加えられています。写真は伊万里焼生産の様子が描かれていますが、この他にも「下総国西瓜畑之図」や「河内木綿機織之図」などがあります。
右端には土を溜池に入れている男性職人がおり、その手前にはろ過した土を取り出している女性職人がいます。画面正面ではほうかぶりをして土をこねる女性達がいます。赤い着物を着た子供も仕事を手伝いながら、ろくろ職人を見つめているようです。二人の男性職人がろくろを挽いていますが、奥の若い男性は煙管をくわえています。ところがこのろくろ、肥前地区は蹴ろくろを使用していましたが、この絵は座りろくろになっています。座りろくろは主に瀬戸地方などで使用されていたので、三代広重は伊万里に取材にきたわけではなく、瀬戸で取材をしたのか、あるいは瀬戸地方の資料を参考にして描いたのではと考えられます。 |