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やきものが登場する物語
Vol.41
マイセン
THE ARCANUM
秘法に憑かれた男たち

■発行所
(株)集英社
■著者
ジャネット・グリーソン
■訳者
南條竹則
■定価
2,100円
■ジャンル
歴史物語

波瀾万丈。君主たちとアルカニスト(秘法師)の息づまる人間ドラマ。マイセン磁器誕生秘話。美と富と名声を求めてヨーロッパ最初の磁器製法に賭けた男たちの歴史物語。 (カバー広告より)

  マイセンといえば、ヨーロッパ磁器の誕生の地であり、一大生産地でもありますが、この本は東洋の磁器に魅せられた男たちの様々な思惑と苦闘の物語です。

 18世紀、ヨーロッパでは二つの秘法が探し求められていました。一つは「賢者の石」をつくりだす技法、賢者の石とは卑金属から黄金をつくりだせるといわれた謎の物質。この謎の物質を探し求めたのが錬金術師、今で言う化学者でした。もう一つの秘法が磁器の製法でした。当時、ヨーロッパでは東洋の磁器は最も珍重され、贅沢な芸術として王侯貴族たちにもてはやされていました。黄金と同じように莫大な富と名声をもたらすものとして、ヨーロッパの各地では磁器をつくる技法を巡り、探求と暗躍が繰り返されていました。

 ザクセンのアウグスト強王は隣国から逃亡してきた錬金術師のヨハン・フリードリヒ・べトガーを捕らえ、黄金を作らせるために幽閉します。しかし、当然ながらどんなに長い年月をかけても黄金をつくりだすことはできなかったため、アウグスト強王はべトガーに磁器の製造を命じます。

 べトガーの磁器製造の成功後、絵付師のヨハン・グレゴリウス・ヘロルトが奇抜で精細なシノワズリの絵柄で人気を博します。そして、ヘロルトの後に彫刻家ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーが登場し、劇的で躍動感に溢れた作品を次々と生み出し、マイセンは不動の地位を得ていきます。

この物語は、マイセン磁器の歴史を語ると共に、富と名声の舞台に格闘する群像の姿を垣間見ることができます。
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