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Vol.37 |
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古今東西
―陶磁器の修理うけおいます
(ここんとうざい―とうじきのしゅうりうけおいます)
■発行所
中央公論新社
■著者
甲斐 美都里(かいみどり)
■定価
1,680円
■ジャンル
エッセイ |
イタイケな陶磁器のため、一流OLのキャリアをかなぐり捨てて骨董マニアの美都里さんが立ち上がった。疾風怒涛の京都、イギリス押し掛け修業を終えて只今参上!
どんな陶磁器でも直します!(カバー広告より)
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とにかくおもしろい!主人公で著者の美都里さんのパワフルかつ、大胆な行動にどんどん引き込まれていくエッセイ。一流企業のOLだった美都里さんが、とあるきっかけで陶磁器の修復師を目指し、イギリスの修復養成学校へ留学し、京都の職人さんに押しかけ修業。そして、修復家として活躍する日々がいきいきと描かれています。
修業の合間に、美都里さんが垣間見た西洋と日本における修理・修復の意味合いの違いも興味深い。「陶磁器を直す」ということに関して西洋では修復、日本では修理を連想するというのが、根本的な違いではないかと、美都里さんはいいます。
修復は、用途は別にして壊れた陶磁器の外観を元の状態に戻すこと
修理は、壊れた陶磁器を外観は別にして元通り使える状態にすること
とありますが、この根本的な価値観の違いによって、日本の陶磁器修復技術「金継ぎ」が西洋人にとっては理解の外なのだとか。パワフルな美都里さんの行動もさることながら、こういった美術品に関する価値観の違いなどを独特の視点から考察した推論からも、美都里さんの「個性」がきらりと光ります。
陶磁器に詳しくなくても一女性の仕事記として、楽しく読め、読後はこちらも元気がみなぎるような気分にしてくれます。また、エッセイの合間に入る、陶磁器や骨董関連のコラムもマニアにとって、ついニヤリとしたくなるような内容がいっぱいです。
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